ハルの足音

とな

第1話 放課後のノート

放課後の教室。

窓の外では、冬の夕日がグラウンドを赤く染めている。

机を寄せて、参考書を広げる4人。


「ねぇ、うみ、それ昨日も間違えてたよ?」

笑いながら赤ペンを持つのは、美花。

彼女は頭がよくて、よくみんなに勉強を教えるタイプ。


「うっ……また? 英語、マジで敵だわ」

うみは、頬を膨らませてノートにうずくまる。

「敵って、勉強の話じゃないの?」と、音色がからかうように笑う。


なつはそんな3人を見ながら、静かにストーブのスイッチを入れた。

じんわりと温かい空気が流れ、4人の手を包む。


「ねぇ、受験、怖いね」

ぽつりと音色がつぶやく。


「でも、私たちなら大丈夫だよ」

美花が微笑んで言った。

その笑顔に、少しだけ安心した。


「もし落ちても、笑って言えるようにしようね」

みうが言うと、3人とも頷いた。


カチリ。

時計の針が、静かに放課後を刻む。

外の空は、もうオレンジから群青へと変わりつつあった。

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