呪いの日記帳 遺恨

里 惠

遺書


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 俺は、コートのポケットから煙草の箱を取り出し一本くわえる。火を点ける物を探し、鞄の中を漁っていると指先に冷たい真鍮しんちゅうの感触がした。

 掴んで取り出すと、あいつの形見であるジッポが顔を出す。


「旬……」


 今は亡き従兄弟の名を呟きながら、今日までの一ヵ月を思い返した。

 こんなにも一気に身近で人が死ぬなんて事、この平和な国ではとても珍しい。


 それも、たった一冊の黒いノートの所為で。


「俺は……これから、どうしたら良いんだ ? 」


 もう正直、心も身体も限界だ。楽になりたい……でも、たくされた思いを無駄には出来ない。




「…………なぁ、教えてくれ……

 俺は、どうしたら良いんだ ? ……旬」


 固く握りしめたジッポを見詰め独り語ちる。

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