天国の判断
「右手、動く。左手も動く。普通に喋れてる。奇跡だ、後遺症が無い……!」
先生が慄いていた。
天使と戦い、俺は目を覚ました。精密検査を受けたところ、後遺症らしきものは見当たらなかったらしい。
先生曰くこれは、数例しか見られないものらしかった。
カプイエルの言う通りだったが、まさか本当に後遺症無しで復活できるとは。
◇
このあと、莉奈にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。
「本当に心配したんだよ~!? 密閉空間でゴキブリスプレ~をたくさん使うって何考えてるの~!?」
「いやぁ、ゴキブリだからつい……」
「でも、後遺症もなさそうで良かったよ~! もう、僕の前から居なくなったらダメだからね~?」
その刹那、部屋に雲が現れて雷が俺に降り注いだ。
「莉奈、離れてろ!」
「え?」
「ぐわぁぁぁぁぁ!?」
豪雷が体を貫いていく。
これは、カプイエルが言っていた天罰だろう。天使に勝って、無理矢理生き返った罪。
理系じゃないから詳しい威力は分からないが、絶対に殺しにかかってることはわかった。
「大樹!? 大丈夫~!? 室内なのになんで雷が?」
「大丈夫だ。お前が現世にいるかぎり俺は無敵だ。相手が天使だろうと、勝って見せる!」
だが、不思議と身体は無傷だった。強いてあげるなら髪が黒焦げになったぐらいだろう。
◇女神視点
「ナー。今ので死なないとかほんとうに人間カ~?」
安達大樹、奴は剛力のエネルギーを使っていたとカプイエルから聞いた。エネルギーは天国の、それも天使しか扱ってはいけないという規則がある。
規則を破った人間は生かしておくわけにはいかないのだ。カプイエルも悪い。ルールは破ればいいのに『ルールは、ルールだから』と独断で奴を復活させてしまった。
「あのひとは天国と現世をなんども行き来してる。おそらく既に肉体は『理』のそとの存在。天国の常識は通用しないと考えたほうがいい」
カプイエルがそう言う。エネルギーありとはいえ、カプイエルを打ち負かした人間だからそうだろうナー。
でも天国から帰還した人間、それもエネルギー使った人間が復活とか、発覚したら神様に叱られるからナー。でも、あの男と戦ってこっち側の被害は……
「仕方ないナー。なら、あきらめるカー」
あの最大威力天罰に耐えていたしナー。普通に考えて、天国の総力を上げても勝てるか怪しい。勝てたとしても多数の死傷者が出るだろうしナー。
「仕方ない。天国出禁で終わらすカー。イチャイチャしてるのは癪に障るけどナー」
二人はイチャイチャしている。その光景をあたし達天使は天国から見ることしかできなかった。
「カプイエルにはこの男を現世に戻してしまった責任をとってもらう。一定時間の間、現世へ堕天ダ~」
「わかった」
「えらく物分かりがいいナー、カプイエル」
「だって百年前はともかく、現世は娯楽で溢れている。束の間の休息、楽しんでくる、よ」
カプイエルはそう言いながら、堕天していった。現世の発展も考えようだなと思った。
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