ぐんそー

 祖父母が俺たちのもとにやってくる。双葉家にくるらしいので、俺たちは今、家の片付けをしていた。


 普段からこまめに掃除はしてるようだが、細かいところが甘い。角や掃除があまりできないところが黒ずんでいる。


「はぁ、よくぞここまで掃除もせずにほっとけるものだな。全く虫が出たらどうする……」


 そう呟きつつ、スポンジを持ってゴミを退けたら、黒光り最恐生物が眼前にいた。


「ゴ、ゴキブリだぁぁぁぁ!?」


 人類の敵、クロゴキブリ。ゴキブリ目ゴキブリ科に属する昆虫の一種である。屋内に生息するゴキブリとして代表的かつ著名な種だ。


 どうする、どうすればいい!? 莉奈が居れば酷使無双アンダースローの如くゴキブリを窓へ放り投げてくれるが、彼女は今留守だ。


 真奈斗は双葉の両親と一緒に祖父母を迎えに行ってるし、奈緒は立ちんぼで忙しいらしい。どうすれば……


「ここはまかせろ!」


「ぐんそー!」


 そんな声がした、気がした。幻聴かもしれない。


 アシダカグモ。別名軍曹。主にゴキブリやハエといった、家屋内に発生する害虫をぶち殺すことで知られている益虫だ。


 正直、アシダカクモも気持ち悪い。だが、正義悪という言葉もあるだけに今だけは味方になってもらおう。


 クモは勇猛果敢にゴキブリへ飛びかかった。


 ゴキブリの瞬発力は時速三百km。外敵から身を守るため、飛んで逃げるよりも走って逃げる術を極めたゴキブリだか、それよりも速いのがアシダカクモ。


 まるで宙に浮いているかのように体高がせり上がり、瞬く間にゴキブリを捕らえた。


「凄いぞぐんそー! さすがだよぐんそー!」


 黒光り最恐生物を討伐したぐんそーは、颯爽と家具裏へ引っ込んでいった。俺はぐんそーに最敬礼をした。


 俺は改めて黒光り最恐生物を見た。どうやら息絶えているようだ。ひっくり返っている。


「……このゴキブリ、卵を産んでいる!?」


 腹から白いつぶつぶが見えた。間違いないだろう。もう終わりだ。繁殖しているんだ。戸棚の裏は今頃、黒光り最恐生物の卵でいっぱいだ!?


 黒光り最恐生物が一匹いれば百匹いると思えと、今は亡き母さんに教わった。


 徹底的だ、ぐんそーと一緒に殲滅戦をするとここに宣言する!

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