ひろしまの春祭り

 ゴールデンウィーク。


 俺たちは広島県内のとある公園にやってきていた。


 道中、路面電車に揺られ、少し歩きつつ、平和記念公園へ来ていた。


「広島県民は身近にあり過ぎて逆に行ってない場所だ」


 ひろしまの春祭り。正式名称は言っていいのかわからない。


 毎年五月三日から五日までの三日間、「広島と世界を結ぶ平和の花の祭典」として開催される大規模な祭り。広島市の平和大通りなどで開催されている、花と緑、音楽をテーマにした『広島と世界を結ぶ平和の花の祭典』


「屋台いっぱいあるよ~! 何食べる~!」


「今、減量中だから、食べれても肉だなぁ」


「そうだった。忘れかけていたけれど、大樹はボディビルやってたんだよね」


 俺はからあげ王で一位を取ったという、とりいちを食べた。


 莉奈はちゃんぽんに、じゃこ天、フルーツスムージーを食べていた。食べ盛りだ。


 花の塔には色とりどりの花々が並べられている。


 そして、数千人規模が平和大通りを花の装飾で着飾った服で練り歩く、パレードがある。


「壮観だぁ……!」


 そしてスペシャルゲストは春山飛優。男の娘系アイドルで、俺の推しである。


 俺はあらかじめ用意していた飛優ちゃんバンダナ、ペンライト、飛優ちゃん顔入りプリントTシャツを持ってきていた。


 いろんな角度から好奇な目で見られている気がするが、見たけりゃ見ればいい。俺は一向に構わん!


「ウォォォォ! 飛優ー!」


「スペシャ~ルゲストに飛優ちゃん! 私が猛プッシュした甲斐ありました~!」


 好奇な目に俺が見られていると思っていたが、おそらく違うことが発覚した。隣に校長がいる。飛優ちゃんの顔がプリントされたパンツ一丁姿で。さらにいうと同担、同士だ……!


 さすがだ。変態度数では勝負にならない。校長の生き様に敬服した!


「いや、どっちも気持ち悪いよ~?」


 莉奈が他人のふりをしながら冷静にツッコミを入れた。



        ◇



「虹色パンツの不審者確保!」


「飛優ちゃんの前だぞ! 離せ! おてめぇの顔出す所じゃあありません! すっこんでいなさい!」


 数分後、警備員によって校長は連行されていった。


 校長でも、パンツ一つだけで平和大通りを歩くことは叶わないようだ。

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