球技
最後の種目、ボール投げ。
ボール投げは、指定された円内からボールを投げ、落下地点までの距離を測定する。
「莉奈ー! ぶん投げろー!」
莉奈は某鯉の球団や、メジャーで活躍して200勝も達成した男気投手の投げ方でボールを放った。
偉大なフォームから下される山なりボールは、四メートルだった。
「オラっ!」
余談だが、俺は莉奈と同じ距離を放った。特に語るまでもない。
「ポストシーズンで三本塁打&十奪三振してそうな恵体なのに、どうして僕と同じなのさ」
「そう言われても……」
俺はまず球技が苦手である。野球の場合、バットにボールが当たらない。ゴルフの場合、ボールじゃなくて地面を飛ばしている。
「大樹って、球技全般ダメだよね。野球とか、当たれば場外ホームランするようなスイングするのに、当たらないんだもん」
「空間認知能力が終わってるらしいからな。昔、そう診断された」
それはそれとしてさっきから視線を感じる。それも校舎側から。
今までの種目は体育館でやっていたが、ボール投げはグラウンドでやっていた。
その正体はすぐに分かった。俺の視力は5.0。とてつもなく目がいいのだ。
校長が、双眼鏡片手にこちらを覗いていた。しかもパンツ一丁で。位置的に校長室から見ているのだろう。
ていうか、あのはげ頭的にベランダにいたおっさんと同一人物な可能性が高い。パンツ一丁だったし。
「なんか喋ってるな……」
俺は読唇術得意ではないが、目がいいので正面から見たら大体分かる。どれどれ、校長は何で言ってるか……
「莉奈くんが男の子だったらなぁ~。なんと惜しい」
「なんつー独り言を呟いてんだアイツ」
夢の中での全人類男の娘化計画しかり、本当の危険人物はコイツかもしれない。そう思った。
◇
かくして、全種目が終わった。
「スポーツテスト完走したよ~!」
「おう、莉奈は全科目ほぼ一点だったけどな」
「過ぎたことはいいよ。それよりスポーツテスト終わったらデートだよね〜!」
「おうおう、宮島でも動物園でもア◯メイトでも、好きなとこ行こう」
明日からゴールデンウィークだ。初デートが楽しみだ。
◇
その頃の俺は知らなかった。初デートで死の淵を彷徨う羽目になろうとは。
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