ロシュフコー

◇一方その頃


 フゥン。なるほどな。ここは夢の世界。そして俺様はその空間で迷子になってしまったというわけか。


 つまり、この世界ではなんでも手に入れ放題。パラダイスというわけか!


「俺は今からこの夢の王になるぞ! 全権も俺が貰う! 独裁だ!」


「愚か。愚鈍だ」


 フフン? 誰だ? 俺の夢の中に現れたやつは。


 見た感じだと中世の人間に見受けられるが。


「前提として不可能なことはない。すべてに至る道がある。しかし人は、地位を確実に掴むために、あらゆる手を使って、すでに自分がその地位を占めているように見せかけるのだ。貴殿はまさにそのものである」


「フフン、見せかけているというのは間違いではないな。今の時代、王になるのは難しい。だが、俺は欲しがりだ! 夢の中ならなんでも手に入る! 全部が欲しい! 俺の美徳だ!」


「欲で目が見えなくなる人があり、欲で目を開かれる人がある。貴殿は後者であるな」


「貴様、名をなんと言う」


「ロシュフコーである。覚えなくていい。ただの文学者だ」




        ◇



「まさか、夢の中とはい~え、莉奈くんが男の娘になって~るなんて。夢の中は最高ですなぁ!」


 夢の中で出会ったロシュフコーと歩いていると、校長と双葉にばったり出会った。パンツ姿だから間違いはない。


 双葉なんか、凛々しくなったか?


 校長はこちらには気づいていないようだ。奴の趣味を否定する気は無いが、面倒なのでその場から離れるか。


 そう結論づけて、そろーりそろーり離れようとした。


「君は、星宮千暁くんじゃあないか!」


 なんと、校長の首が三百六十度捻じ曲がった。俺の方を向いて不気味に微笑んだでいる。




        ◇




 その後、聞くに耐えない男の娘とやらの魅力を三十分の間聞く羽目となった。


「弱い人間は率直になれない。率直な貴殿は強い人間である」


「どうだい。男の娘に興味を持ったかな。持ったよね!」


「すまん、九割何言ってるかわからんかった。するよってくるな18禁ハゲ」


「分からなくともいい。相手方の言い分を聞いてやろう、という気持ちが無くなったら、もう貴殿の負けである」




        ◇




「でも、どれも本物の僕とは僅かに違う。筋肉の変態さんやらロボットやらさ~」


「それは、双葉莉奈の知り合いが願っている双葉莉奈像が具現化されているからな!」


 む、今度は筋肉の双葉莉奈とその他莉奈、さらにその妹。ついでに大樹がこっちに出没してきた。


 莉奈が増殖しているだと!?


 いやそれより、夢の世界とはいえ、展開が雑すぎないではないだろうか。夢の世界だからって手を抜いたりしたらダメだぞ作者ぁ!


 そう思いつつ、校長のほうを見ると、また別の人物が現れていた。というか、顔見知りである。


 そう。それは唐突、不意、前触れもなく俺たちの前に現れた。


「ギリ犯罪だろこれ……」


 パンツ一丁の校長と大金を握りながらOLスーツを着こなしている双葉真奈斗が。


 そして大樹が目を丸くして、充血した眼球を血走りながらその光景を見ている。何故だろうか、よくはわからないが嫌な予感がする。




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