テストは惨憺たるものだった
窓を開けると、ドーンと腹に響く工事現場の環境音が聞こえてくる。柔らかな春風が吹き、莉奈のロングヘアーをさらさらとなびかせる。
「ちなみに大樹は数学、何点だったの? 大樹~?」
彼女の言うテスト。それは学校伝統(いやがらせ)、先日の小テストの件だろう。50点満点の。確か莉奈は13点だった。
もし彼女に投げかける言葉があるとすれば、『このテストに追試がなくて良かったな』だ。彼女は成績優秀さんが靴も履かず裸足で逃げ出すような、勉強がそんなに得意ではない残念娘なのだ。
こんな感じだと大学受験も厳しいだろう。本人は行く気もないらしいが。
どれ、ここは格の違いとやらを莉奈に叩きつけてやろう。
「ふっ、20点」
「五十歩百歩じゃん~!」
と、思ったがそんなにテストというものはそんなやわなものじゃない。
莉奈がバカだから俺が秀才という、そんなバランスの均衡ということは無いのだ。俺も彼女と同じく勉強は苦手である。
困ったことに俺は大学受験が控えている。と言っても、名前を書けば合格できるようなFラン大学なのだが。なんなら指定校推薦なのだが。
大学に入りたい理由? もちろん同人サークルに入りたいからである。
「筋トレと同人誌に力を入れすぎたな。次の期末テストはヤバいかも」
莉奈はバカだが、俺もバカである。というか、俺たち親族郎党はごく一部を除いてバカしかいない。
「英語は~?」
「42点」
「僕、17点~」
「大樹と莉奈ちゃん。◯◯大学のテスト、満点だったんだよー!」
そのごく一部が、俺の部屋に入ってきた。
安達柚月。鳶が鷹を生むをまさに体現した、俺の妹である。小学生の年齢ながら特待生で大学に飛び級した経歴の持ち主だ。
柚月の凄さには毎回驚かされ、日々劣等感を味わっている。先日はとうとう、電磁砲を作ってしまった。文字通り、頭の出来が違う。
「おお、すごいな柚月。こんな点数でキャッキャしている俺たちがバカみたいだ」
「実際バカだからね~、僕たち」
「ぶっちゃけ、柚月の存在そのものがファンタジーだよな正直」
「だよね~。頭の出来が違うという次元を超えてるよね~。柚月ちゃんは満点当たり前でしょ~? 凄いよね~」
「あたしは大樹達の方が理解できないんだよー。テストなんて暗記すればいいんだよー」
「それができたら苦労しないわ」
天才の思考は、常人には到底理解できない世界である。
柚月は所謂、ギフテッドというやつである。一目見たものは必ず覚えることが出来る。
さらに彼女曰く、十桁×十桁の暗算を秒で答えることが出来るらしい。つくづくどうしてこの一族に生まれてきたのかわからない。
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