エルフの少女と妖精の少女、女神に修行を言い渡されドタバタスローライフ始めます

須々木あおい

0話 エルエル、言い渡される!

0 エルエル、言い渡される!

 ここはエルリア族と呼ばれるエルフが住む『エルリアの森』。

 その森の奥には森の守護者「女神ラピス様」をまつるとても立派な神殿が建てられていた。


 その天然の木で出来た神々しい神殿に突如大きな音が響き渡った。


「超めんどくせええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 その響き渡った音は私がお腹の底から力いっぱい叫んだ声だった。


「な…なんでそんなめんどくさい事私がしなきゃいけないんですか!!」


 私は怒りながら神殿の最奥に偉そうな椅子におしとやかに座っている女神ラピス様を指さす。ラピス様は諭すようにゆっくり私に語り出した。


「エルエル…少し厳しい事を言っていいですか?」


「ダメですやめてください」


「エルエル、我々エルリア族は15歳になったら外の世界へ出て人助けなど何か目標を持った"修行の旅"に出るのが決まりなのです。あなたは7か月前に15歳を迎えたというのに未だに外に出る気配もなければ毎日毎日自分の家に引きこもってぐうたら過ごして…恥ずかしくは無いのですか。他の15歳になった森の子達は既にみんな目標を持って旅立ちましたよ」


 やめろって言ったのに普通に無視しやがりましたよこのババア。

 ババアこと女神ラピス様…エルリアの森を見守るエルリア族の女神様。見た目は20代ぐらいにしか見えないし顔も彫刻の様な美人だしキラキラした長髪も長い耳も見た目だけなら若々しくて美しいが喋り出すと小言がうるさくて実年齢通りのババアにしか見えなくなってくる。里のみんなのお母さんみたいな感じなんですかね。ムカつくが私はあまり頭が上がらない。

 こんな考えを読まれたのかキッとこちらをひとにらみした後ラピス様は言葉を続ける。


「そこでエルエル、貴方には"目標"を与えます」


「ラピス様そんなの与えないでください外には行かないです」


「それは"外れの町フォークテイルタウン"にある[枯れた聖樹の花]を咲かせること…」


「どこですかそれどうでもいいです喋らないでください行きたくないです」


「その聖樹の花が枯れてからというものあの町周辺には悪い事がよく起きるようになったとかならないとか…」


「私には関係ないです行かないです」


「聖樹の花は人の幸せな気持ちが作用して咲くと言われています。貴方はフォークテイルタウンで”困った人々を助け幸せな気持ちを広めなければなりません"」


「嫌だ行かない」


「我々エルリア族は古代の創造神より与えられた高い知能と魔力を持って世界の均衡を保つのも役目なのです。町の人達を助け、聖樹の花を元通りに咲かせ平和を取り戻すのです。それが貴方の"修行の旅"の目標としましょう。…ふふっ、行ってくれますねエルエル?」


「行かねえってっつってんだろあー!!!!私は一生ぐうたら寝て遊んで家で過ごしたいんだよ!!!!そんなめんどくせえ事してたまるか!!!勝手に決めてんじゃねえぞクソババア!!!!!!!!」


「うるせえボケッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!口答えしないで行けやクソガキがあああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 ラピス様は椅子から立ち上がりとんでもない速さで近付き私のお腹にパンチを思いっ切り喰らわせて来た。


「おげえええええええええええええっ!!!!!!」


 ラピス様の得意魔法『ボディーブロー』を喰らった私はヒザから崩れ落ち地面をのたうち回った。

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