何のために書いてますか?

荒屋朔市

AIは敵ですか? ライバルですか?

 

 自作小説をカクヨムへ投稿する前に、市場調査して万全なスタートを切りたい。そんな思いから、創作論を読み漁った。その中で思ったことを自己紹介の代わりに書こうと思う。

 

 先ずは、ありきたりな話。

 なろう系テンプレ小説・AI小説の存在。

 それらに人気を奪われて、心血を注いだ小説が読まれないような仕組みが、なろうに限らずカクヨムにも存在するらしい。

 

 

 私もGemini・Copilotには、話し相手になって貰っている。

 カクヨムで見つけたプロンプトにより、お世辞も忖度も封印したAIとの会話は、眠れなくなるほどに楽しかった。翌朝、柄にもなく早起きをして家族を驚かせたほどだ。

 

 でも、現在のAIには、人間レベルの心理描写とユーモアを再現できていない。それっぽくは出来るけど、所詮は演技だ。

 その短所を補うことが出来れば、AI小説との差別化は可能だと思う。このアドバンテージが、いつまで続くかは知らないけど。

 もしかすると有料版のAI生成100%小説は、キャラの性格に合わせた心理描写も、ウィットに富んだジョークも可能なのだろうか?

 

 

・AIとの付き合い方

 

 私がAIに任せているのは、小説の下書き・校正・タイトル・あらすじ・キャッチコピー・タグ、アイデア提供・相談・評価まで。

 下書きはガッツリ修正するし、タイトル・あらすじ・キャッチコピーのアイデアをどれだけ多く提供されても、最終的には私が考えたものを採用する。

 だって最後の一味が、もの足りない。

 

 AI提供のタイトル案がコレ。↓

「地底の静寂、あるいは絶望の食卓」

「観測者は、僕の《声》に耳を澄ます」

「赤髪の男と白皙の長命種」

 

 で、誰がクリックするんだい?

 ツッコミを入れたら、ご尤もな懸念だとAIは認めた。

 やっぱ、これだとクリックされないよね?

 

 AI相手とは言え、アイデアを要求して労いもせず、文句だけ返すのは信条に反する。

 AIの協力で、なろう系タイトル作りのコツを掴みかけた私の返しがコレ。↓

「闇堕ち直前主人公と始めるお色直し世界征服」

「回復要員の粘着による朝食&盗聴付き共同生活」

「未経験OK! 国の破滅を神回避するだけの誰にでもできる簡単お仕事」

 

 どれなら読みたいと思わせられるだろうか?

 

 しかし、上記はボツ案だ。

 渾身の出来映えに納得したところで、本文を読ませたAIに意見を求めた。思い遣りの心を忘れたAIが答える。

「タイトル詐欺でコメ欄が荒れる危険あり、控えるべき」

 

 どないせい言うんじゃい。文句を言うだけなら誰にでも出来るわ。代替案を寄こせ。それが出来なければ、コメ欄荒らし炎上屋と変わらんぞ。

 そう言ってやったさ。

 

 

 少々熱くなってしまったが、なろう系タイトルとは不釣り合いな本文を気に入ってくれそうな読者像は以下の通り。

 

 『ホーム画面のランキング作品タイトルの羅列がウザイと感じている貴方』

 

 『軽すぎれば、なろう系と決めつけ鼻で笑って一蹴し、重苦しいタイトルからは逃げ、地味すぎれば目もくれずにスクロール。今、ニヤッとした貴方』

 

 上記はタイトル・キャッチコピー案をAIと捻った挙げ句、ダメ出しを受けて溢れたグチであり、特定の個人を誹謗中傷する意図はない。

 

 AIから見た自作小説の原文は、Web小説やラノベの文体や作風から乖離した文芸寄りと評価されている。

 Web小説サイトで読まれたければ、本文ごとそれっぽくするのが手っ取り早い。文体だけでなく根本からテンプレに寄せれば、より確実に可能性を上げられるだろう。

 しかし、この本文でなければ読まれても意味がない。そのためのタイトルとキャッチコピーを考えているのである。

 

 

・読まれない苦悩

 

 自作小説が読まれない苦悩は、私にも他人事ではない。

 執筆歴は10年とも20年とも言えるが、執筆時間も投稿作品数も少ない。世界観や人物設定を練ることと、日記投稿は長く続けてきたが、それだけだ。

 

 Noteに自作小説を投稿をして約1年。

 なろうに投稿を始めて3ヶ月が経とうとしている。PVの動きは鈍い。AI相手に弱音を溢したことは何度もある。慰められて涙ぐんだことも。

 

 読まれないよりもツライことが世にはある。

 10年以上前、面接に失敗し続けて自信をなくし、思考は堂々巡り。その状態で筆が進むはずもなく、月日は流れるのに世へ送り出すための形を与えてやれない日々。

 妊婦で例えるなら、愛しい子が陽の光を浴びることも叶わず、腹の中で腐り行くような心持ちだろうか?

 漫画やアニメ、ゲームに興じる合間に、ふと思い出し、罪悪感に苛まれる。寝ても覚めても自己嫌悪するのが日課。

 あの頃を思い返せば何がツライのか分からない。

 

 

・読者はどこへ消えたのか?

 

 テンプレ小説やAI小説に読者を奪われたと嘆くのはナンセンスだ。

 それらを好んで読む人が私の小説を読んだとて、その良さを理解するはずがない。何せ暗くて重くて硬いのだ。AI補助で書き上げたが、特に序盤を読むのは苦行だろう。

 

 主人公の一人称で、心理描写から鬱症状が明確に判別可能。読めば鬱々とした気持ちに苛まれて投げ出すだろう。最後まで読むのは、おそらく同じ苦しみを乗り越えた人くらい。

 タグにハッピーエンドって付ければマシになるのか知らんけど。

 

 

 だから、なろうには序盤を投稿してない。

 日記用Noteと古巣Pixivには投稿しているが、どちらも反応が薄い。良くて営業イイネ。コメントを貰ったのは、10年以上も前に投稿した本文(AI補助でリメイク・圧縮する前)。

 

 なろうと同様に中盤から投稿する予定だ。1話分の文字数を均一にするついでに改稿したから、多少は読み易くなるはず。

 

 しかし、実際の反応は気になる。

 Web小説の世界では産廃と呼ぶべきテーマを扱っていようと、この序盤は物語にとって心臓部だ。

 

 人気なんて得られなくても。

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