メン

@mugen_eiraku

メン

 目が覚めると、体の上と下に何かがくっついていた。足の方には人工芝の様なモゾモゾとした感触があった。両足くっついているからそれぞれ独立して動かすこともできないし、頭が固定されていて視線の移動しかできない。地面に仰向きに寝転がっているが、時折足の方からうねる様な力を受ける。耳を澄ますと男の声が聞こえた。

「おーい、どうなってんだよ」

「終わった、あの噂は本当だったのか」

 耳と同じ高さ位から聞こてくる所から見るに、彼らも寝転がっているのだろうか。時折り不安を掻き立てるような言葉も聞こえてくるが、状況から見てもとてもまずい状況だというのはわかる。

 殆どの男達が目覚め、各々の支離滅裂な叫びで充満した頃。どしどし、という音と共に何かが近づいてきた。とてつもなくデカかった。人とミミズの様な大きさの差だった。顔はメガネをつけていないので良く見えないが少なくとも今まで見てきたどのSF映画でも見たことはない様な顔であった。そいつは、巨大な筆の様なものを何かにひたして俺に、俺らに塗ろうとしてきた。それはまたも、筆と消しゴムの様な差で、それを上から塗られべっちょりと変なものが付いた。そして、急に頭の上の方から持ち上げられ、宙ぶらりんになったと思ったら、狭い筒の中を通らされた。どうやらあのべちょべちょしたものは接着剤のようなものだったらしい。身体が一ミリも動かなくなった。もちろん、目を開けないから周りが見えないし、耳を塞がれたから全く周りの音が聞こえないし、呼吸もできない。筒を通った後は熱湯の中に入れられた様だ。暑さは接着剤の中からも感じられる程であったし、ぶくぶくと沸騰の際に生じるらしい泡が時折当たるのが感じられたからだ。熱湯に入ってすぐ、暑さによってか酸欠によってか俺は死んだ。

 

「お待たせしました。高級食材、地球人のmanです」

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