第5話 4月15日 昼過ぎ〜夕刻

オカンに電話するのは東京着いてからだな、とりあえず電車乗ろ。


『あぶねっ、完全に寝てたわ』

電車ってなんで眠くなるんだろう。

乗り継ぎ駅が終点で良かったわ。


電車の揺れに揺られてると不意にスマホのバイブが震えた。

保育園の降園通知だった。


『普段なら今頃、帰ってきた子供と公園で5時の時報なるまで遊んでるんだよなぁ』

無意識に口に出てしまってた。


今年産まれた子と違い上の子は今の嫁の連れ子だ、本当の父親の顔すら知らない子は俺を本当のパパとしてよく甘えてくる、俺にとってはどの子も大事な子供だから懐いてくれるのは素直に嬉しい、子供と二人で散歩したり遊ぶのも好きだ。

だからいつも「もっとパパと遊びたい〜」って駄々をこねられるとついつい遊びに付き合ってしまい、嫁に怒られることもしばしばだった。

「パパ、あそぼ?」

不意に上の子の声が聞こた気がした。

自分で思ってるよりも子供と離れることがダメージになってるみたいだ。


日常とは違う仕事。【クッションバイト】

そう言うのがあるってのは噂程度には聞いてて半ば都市伝説みたいなもんだと思ってた。


ボーッと車窓からの景色見ながら考える。

多分、表にできないアレコレとか方の抜け穴みたいなアングラ世界なんだろうな〜


引き受けた事を後悔してる訳じゃない、寧ろ何か起きないかって楽しみにすらしてる。


電車は進みいよいよ東京だ。

東京駅着いたら待ち合わせ場所まで徒歩で行く、物件までは事務所の車で送ってくれるという。


っと、その前にオカンに電話しとかなきゃな


『もしもし、わいだ、母さん出して?』

「ウチにはわいだって人は居ません詐欺ですか?」

『いや、ババよ、のぶっちだわ』

「何だい?放蕩息子、またどこぞて女作って妊娠させたか?それとも金まきあげて捕まったか?どんな罪犯したんだい?」

『いやいやいや、着信あったから返しただけ。』

「なんだ、金の無心とかじゃないんだね?」

『違うわ、仕事でちと北関東入る事になったわ』

「なんの仕事すんだい?」

『かぁさん、俺、事故物件住むことなったわ』

「事故物件って車とか突っ込んだりした所とか?」

『まぁ当たらずとも遠からずだな、訳アリって物件だから。』

「な、大丈夫なんだべな?、昔からお化けとか視える方だから取り憑かれたりしねんだが?」

『大丈夫だわ、わいはそっちには強い、たぶん』

久しぶりに聞こえてくる方言。

「まぁ、なんの仕事でもやる気出したのだげはいいごとだな。」

『んまな、へば行ぐわ。んだがら今年は恐山さはいげねど思う。』


さて、と、切り替えて待ち合わせ場所向かわなきゃな。


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