第24話 二人の告白
その日から関水の竹田さんへのストーキングは一週間続いた。俺は関水を一人にしないように何とか喰らい付いて行った。
--こいつを一人にすると何をしでかすかわからない。だけど限界だな
--津田「まあ、言いたくなったらでいいや。」
津田の言葉が脳裏に浮かぶ。俺はスマホを手に取った
--情けない。だけど、もう俺一人ではどうにもできない。
prrr
津田「珍しいなー。何?」
「ごめん。もう耐えられない。助けてほしい。」
津田「...わかった。明日でいいか?」
気づけば、涙が頬を伝っていた。言葉がでてこない。
「...頼む...明日、話聞いて」
ようやく出てきた言葉は震えていた。
翌日、俺は講義室の後ろに座っていた。津田が隣に座る。しばらく沈黙が続いた。
津田「...頼み事って何?」
俺は今までの出来事を洗いざらい話した。
-そして、竹田さんが危ない事も。
津田「おっけー。とりあえず、今日俺関水先輩と飲みに行くわ。その間、寝とけ。」
津田の姿は頼もしかった。俺は肩の力が抜けていった。
部活終わり。
関水「津田に飲みに誘われたから行ってくるわ。」
関水がニコニコしている。
--あいつ凄いな。関水を丸め込んでる。
俺は一人寮に戻ると眠りについた。久々に体の力を抜く事ができた。底なし沼に飲み込まれるように、眠りに落ちていった...
--このまま、夢の世界にいたい...
「ただいま〜。おい津田〜。お前いい奴だな〜。」
泥酔している奴の声が聞こえる。
関水「津田、桜ちゃんとより戻したいよ」
扉を少し開け様子を伺うと、アルコールの匂いがこちらまで漂ってきた。二人の男の姿が見える。
津田「大丈夫ですよ。関水先輩にはもっといい子いますから。」
関水「でもさ、桜ちゃんが良いんだよ。」
普段の強気な関水はいない。肩を揺らし、涙を流していた。
関水「あと少しで、やれたのに。なんか急に桜ちゃん逃げ出して、くそっ」
津田「まあ、あの子もはじめてだから。でも、彼氏ならね、いいじゃんって感じですよね。」
--すごい...津田の落ち着き様。
--関水のやつ、竹田さんに乱暴に迫ったんだろうな。だから振られたのか。申し訳ない竹田さん。
彼女の笑顔が脳裏に浮かび胸が締め付けられた。
関水は津田に手の上で転がされていた。背中の力が抜けていく。津田の落ち着きと頼もしさは俺の情けなさを際立たせた。
俺はそっとドアを閉めて、部屋の隅で丸くなり瞼を閉じる。
--このまま、目を覚まさず終われないかな...
夢を見ていた。俺は暗闇の中、彷徨っていた。出口はどこにあるのかわからない。だけど進むしかなかった。
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