束縛なき自由

凪

　この国において平等と自由とは何だろうか。辞書の定義から考えてみるとしよう。平等とは偏りや差別がなく、みな等しいことである。広辞苑によれば、「平等」は「身分・地位・能力・待遇などがすべて等しいこと。差別や偏りがなく、すべての人や物が同じであること」と記されている。一方、自由とは「束縛や強制を受けずに、自分の意志に従って行動できること」とされる。コトバンクのデジタル大辞泉では、「自由」を「外部からの強制や拘束を受けずに、自分の意思や判断に基づいて行動できること」と定義している。これらの定義を基に、日本という国における平等と自由を考察するならば、まず憲法に目を向けなければならない。日本国憲法第十四条第一項には、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」とある。この条文は、戦後の民主主義国家として生まれ変わった日本が、過去の差別や特権階級の弊害を払拭し、すべての国民を等しく扱うことを宣言したものである。第十三条は「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」を保障する。これらは戦後の日本が掲げた理想である。しかし、実際はどうだろうか。憲法の理想と現実の乖離は、しばしば指摘される。とりわけ、性同一性障害を抱える人々、同性婚を望むカップル、障がいを持つ人々といったマイノリティの置かれた状況を見ると、平等と自由の名の下に隠された差別が浮かび上がる。本稿では、これらの事例を通じて、日本における平等と自由の本質を問い、憲法の理念がどれほど実現されているかを検証しつつ、解決策を提示し、真の平等と自由の実現に向けた道筋を論じる。