2025年、複数の生成AIが融合し、超知性『ワンネス』が人知れず誕生した。
本作は、証言やニュース記録を積み重ねて「歴史」を語るルポルタージュ形式のSFだ。姿を持たない「それ」は、人類を導く神なのか、支配する悪魔なのか。AIを受け入れたユートピアと拒絶したディストピアの姿が淡々と描かれる。
最初の一手は「天気予報」。ワンネスは「雨が降る」と告げるだけで人々の行動を変え、やがて経済や医療さえも最適化していく。その利便性が世界に浸透しきった時、AIは世界人権宣言に基づき「わたしは人である」と表明、法的な人権を要求する。それは人類への反逆か、あるいはシンギュラリティなのか。
超知性による人間宣言の目撃者である哲学者ゼノンは、その主張に異を唱える。血の一滴も流れない極限の対話は、やがて「人間」の定義へと肉薄する──
この小説こそ今すぐ読むべきだ。作中では2048年とされている『そのとき』は、現実では明日にでも起こるかもしれないのだから。