I-State (侵略国家)
エス
国衛隊 入隊編
第1話:神国破壊①
東洋の島国・日ノ国。
世界有数の富と資源を誇る美しい国。
国民は、永遠の平和を信じた。
夢と希望に満ちた輝かしい未来を疑わなかった。
……だが、永遠の平和など存在しない。
国境を越える悪意が この国を喰い潰す。
平和は終わった。
――この国は、侵略されている――
優しい風が吹いている。
その風が吹き抜ける、大きな自然公園。
その一角に静かにたたずむ大きな樹。
その木陰には、銀髪を思わせるアッシュヘアの少女が腰掛けている。
その少女の名は、オウカ。
ボーイッシュなミディアムショートの髪を風になびかせ、遠くにそびえる美しい山を眺めている。
”冷静沈着・感情の起伏が少なく、無表情”
それが、”入隊” 初日から、大多数の ”同期生” が感じた印象だっただろう。
「オウカ~」
やや気が抜けたような…
――もとい、柔らかい印象をまとう声がオウカを現実へと引き戻す。
その声の主がいる方向へ目をやると、トコトコと駆け寄ってくる少女。
桜色を思わせるセミロングの髪が特徴的な その少女の名は――
「ふぎゃっ!」
何もないところで見事につまづき、芸術性すら感じさせる美しい転倒と うめき声を披露した その少女の名は、エレナ。
オウカの ”同期生” だ。
(受け身は なぜか異様に上手く、転倒でケガらしいケガをしたこともない)
くすっ、とオウカの口から笑みがこぼれた。
「行こうか」
――203X年 現在
戦争における銃器類・爆発物などの使用は、非人道的として使用が全面禁止された。
結果として、武器格闘・徒手格闘といった近接格闘術の重要性が極めて高くなった。
それが、この世界の戦争システムである――
日ノ国では憲法上の理由から、”軍隊” は存在しない――ことになっている。
従って、オウカが所属する組織は軍隊ではなく専守防衛の部隊『国衛隊』である。
オウカは半年前、国衛隊に候補生として入隊。
エレナは その同期生の1人だ。
”正規隊員 昇格試験”
候補生として半年間の訓練を受けたオウカとエレナは、正規隊員に昇格するために試験を受けに来ている。
(無論、この2人以外にも共に訓練を受けた同期生は50人ほどおり、彼らも試験を受ける。)
そして、国衛隊の基地内の体育館に 数百人ほどの”受験生”が集合している。
(全国の数十か所で、同時期に昇格試験が行われる)
その眼前の壇上には バカでかいプロジェクターが設置されている。
周りには 30人ほどの試験官が立っている。
四方から聞こえてくる緊張感を感じさせる小さな話し声も、”開始時刻” が近づくにつれ聞こえなくなっていく。
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