第45話

案内が終わり、不屈そうに組長が尋ねてきた。

「なんで逃げるんか。なんか変な事言ったかのう。」

──その眼つきと手の振り方が怖いのだと思います、と言いたいが、本人に自覚がないため困っていた。

「あれだけ言いましたよね。初見の人にはやらないでって。変なクレーム来たらどうするんですか。」

詞乃さんが抗議していた。内心「そうだそうだ」と加勢したかったが、飛び火しそうで心の中だけにした。

「どないするねん。読書好きにやって層増やせんのかいのう。」

「それはそうですけれど……クレーム対応とかめんどくさいんですよ。それに噂になりますよ。常連さん限定でいいですね。」

「しゃあなしや。カタギは真面目に全うするのが筋っていうもんや。二人とも遠慮なく沈めろよ。」

そうして常連さんをさらに読書沼に沈めるため、動き始めた。多少の不安はあるけれど、貸出カウンターから見守ることにした。

「今日はどないした、譲さん。」

組長が話しかけてしまったのは、よく利用する女性だった。なんでちょっと不安要素ある人を選ぶかなと思ったが、見ていた。

「あのですね。掃除が進まなくて……気晴らしに来たんですよ。」

「ぴったりな本があるから、こっちについてきな。」

そう言って本棚のところまで、怖がらずについて来た。この図書館の常連、なんかずれているんだよなと再度思ってしまった。

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