第7話 よーいどん!!
そこにはただ1人立っていた。
「新一郎、、、!」
それは原慎也だった。
緊張感のある空気が流れている。俺とこいつは半月前の練習で喧嘩をしていた。正直気まずい。
「前はごめん、何も知らずに色々決めつけちゃって」
それは意外な言葉だった。てっきり俺はまた文句を言われるかとドキドキしていたが、そんな小さいやつじゃなかった。
「もう気にしてないし、大丈夫だよ、俺こそごめん」
「だけど俺、長距離を陸上競技として小学生から頑張ってたから新一郎に負けるのはすごい悔しかった。その上シューズだったり陸上の知識だったり俺の方が有利な立場な上、負けるのは本当に悔しい。」
「、、、、」
(確かに俺が慎也の立場だったらああなるのも理解できるかもしれない。)
「前のお詫びと言ってはなんだけど、俺が昔使ってたトレーニング用のシューズあげるよ、こっちの方がそこが厚いし反発あるから怪我もしにくいし速く走れると思う。」
その靴はまだ新しかった。使っていたとは思えない。もしかしたら俺のために買ってくれたのかもしれない。
「いいの!?まじでありがとう!!でもシューズでそんな変わるの?」
「試してみようぜ」
俺たちは部室を出た。もう真っ暗になっていたがそんなことはなぜか気にならなかった。靴を履き替え一歩歩いた。確かにそこが厚いのを感じた。なのに軽い。不思議な感覚だ。
「これで300m対決しようぜ」
慎也が誘う
「いいぜ」
俺たちは誰もいないグランドに向かった。
「位置についてよーいどん!!」
静寂の中、慎也の合図が響いた。それとともに俺と慎也は真っ暗なグランドを駆けた。確かに慎也のシューズは走りやすかった。だが何かうまくはまらない、今の俺にはよくわからなかった。そんなことを考えているうちに300mは終わり、俺は46秒、慎也は54秒だった。
「やっぱ新一郎速ッ、、、!」
「おい!!!!」
眩しいライトの光とともに野太い声が聞こえてきた
「そこにいるのは誰だ、速く下校しろ!!」
学年主任の柴田先生だった。
「やべーー、にげろーー!!」
俺たちは笑いながら柴田から逃げるように部活の服のまま全力で家まで走った。慎也とは最初の印象こそ最悪だったがこうやって話してみると案外うまく行きそうだ。こんなに楽しかったのは久しぶりかもしれない。部活のみんなは俺を歓迎してくれて高橋先生や先輩からは陸上のイロハを教えてもらって、、、このままバイトせず陸上をしていたいなんて思ったりして、、、家に帰り他の中学だったり高校、大学、実業団には福地先輩よりももっと速い人がいるのかなどと、考えながら俺は眠りについた。
その翌日俺と慎也は呼び出しをくらい1時間もの間、説教をされ、おまけに反省文まて書かされた。
嵐-RUN- @Ningeeeen
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