3-5
次の日、駿は昨日の事から吹っ切れないまま、学校へと向かう。
クラスに着き、果奈の席の方を見たが、そこには果奈の姿が無かった。
しばらくすると、担任の田中先生が来て、朝のホームルームが始まる。
「早川は今日、休みだから日直は学級日誌に書き忘れないように」
ホームルームになっても果奈の姿が無かったので察しはついていたが、改めて果奈の事が更に心配になる。だけど、何をすれば良いのか分からなく、更に悩みが深まる。
昼休みになり、今日も部活が出来なさそうなので、顧問の今江先生の所に行き、部活を休むための許可を取る事にする。
「浅村、今日も体調悪いのか、大会が近いんだから早く治せよ」
今江先生は昨日よりも険しい表情をしながらも、許可を与えた。
「すいません、分かりました…」
申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら教室に戻ると、直己が待っていた。
「今日も部活休むのか?」
「俺が行って部活に支障を与える訳には行かないし…」
「それで帰って何するんだ?」
「・・・・」
直己からの質問に答えられない。
「駿が落ち込む気持ちも分かるけど、早川さんは今、駿を必要としているんじゃないんか?」
「分かってる、分かってるけど、果奈とどう接すれば良いのか分からないんだよ」
直己にそう返すが、自分でも現実逃避する為の言い訳にしか聞こえなかった。
「駿…俺も力になれる事があったら協力するからさ。いつでも相談してくれよ」
「分かった、心配してくれてありがとう」
直己の言葉は支えとなったが、根本的な解決方法を見つけ出せないまま、昼休みが終わった。
部活を休んで家へと帰ると、家には誰もおらず、昨日と同じような光景が広がっていた。
自分の部屋に行き、仰向けになると、果奈の為に何かしたいのに何にも出来ない自分に腹が立ってくる。
そんな葛藤をしばらくしていると、結が帰ってくる。
「ただいま〜兄さん、今日も帰って来てるの?」
「・・・・」
結の声が聞こえてきたが、何も返せないでいた。
「知らない!」
結は不貞腐れて居間に向かう。
静かな時間が再び漂い始めるなか、そっとスマホに手を取り、果奈のLINEのトーク画面を開くが、指が全く動かなかった。
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