儚き世界のイフ

仲仁へび(旧:離久)

01 フィーアの物語



 イント・ディールという世界に、フィーアという女性がいた。

 フィーアには踊り子として踊りを見せながら、世界を旅するという夢があった。


 それは子供のころに、両親から聞かされた、世界中の物語が影響している。

 フィーアが生まれる前は旅人だった彼らは、様々な話を彼女に語り聞かせた。


 七色の水が湧き出る泉や、様々な動物が強制する平原。

 とげだらけの荒野に、日の光が届かないのに明るい洞窟。


 それらの話は、フィーアの心をうった。


 だから、踊りが好きで踊り子になりたいという夢があったが、彼女は旅人にもなりたいと強く望むようになった。


 そんな彼女は、大きくなった時に世界へ旅立とうとしたが、その旅立ちは望んだものを見せてくれるわけではなかった。


 かつてとは世界の姿は様変わりし、どこもかしこも毒や瘴気に置かされていたからだ。


 両親が語り聞かせてくれたものは、どこにもなかった。


 フィーアは夢を諦めざるをえず、自分の生きた国の各所を回り、踊りを見せる旅をほそぼそと行う事しかできなかった。


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