便利屋生徒会

風花 こたつ

恋愛の依頼

面倒な依頼が来た。


僕は生徒会の副会長の八重切はじめだ。

僕自身はなりたくなかったのだが、うちの学校は特殊で、生徒会の会長だけ選挙でえらばれ、会長が役職を指名していくスタイルだ。

その会長に幼馴染の金剛瀬奈がなってしまったのだ。


瀬奈は僕にあんたなら背中を任せられるわ!とかなんとかいって副会長にさせられてしまったのだ。


僕も断りたかったのだが、何を隠そうこいつに惚れている。

断れなかった。

惚れた弱みだ。


そして数々の事件がありながらも生徒会のメンバーも僕たちを含めてちゃんと5人そろっていた。


生徒会室には、僕と瀬奈しかいなかった。

そんな時急にドアが開いて、


「なんでも相談に乗ってくれるって聞いたんですけど……」


と一人の眼鏡の女子が来た。

そう、瀬奈は何でも事件を解決するといって生徒会を宣伝してるのだ。

本当にやめてほしい。


「さあそこに座って!」


というとその女子は向かい側の椅子に座った。


「名前を聞いてもいいかしら?」


「山川、山川理沙です。」


「そう。山川さん。相談って何かしら?」


「あの……その……」


「……」


しばらく沈黙が流れる。


「好きな……人が、いるんです……」


「告白したいってことね!任せなさい!」


そうして生徒会の仕事として恋愛のサポートが始まった。


本当に面倒な依頼だ。


まずは、その男の情報を得ることになった。

名前は中田良助というらしい。

瀬奈が


「はじめ!わかってるわね!」


と見つめてくる。


「了解」


僕は山川さんから瀬奈が話を聞いている間に保健室に向かった。


***

私はいつも通り保健室で寝ていた。

アイマスクをつけている、金髪のツーサイドアップの女の子それが私、星空美玖ちゃん♪

そうしていると来客が来た。


「星空さん。」


とカーテンが開く。


「あ、はじめ君だあ」


私はあくびをしながら言う。


「どうしたの?」


「仕事です。」


「そっか~」


この子ははじめ君、可愛い私の後輩でうちの生徒会の副会長さんなのだ。

私は書記♪


「今回はどんなお仕事なの?」


「……告白の手伝いです。」


「告白!やっと瀬奈ちゃんにするきになったの?」


私のやる気のゲージが限界突破した!


「違いますよ!僕じゃないですよ」


「なんだあ、ついに覚悟を決めたのかと……」


「それに僕は別に瀬奈のことは対象としては…」


とはじめ君はそんなこと言いながらも目が右往左往していた。

ほんとにかわいいなあ♪


「はじめ君じゃないのは残念だけど恋愛のためなら、私頑張っちゃうよー!」


私は名前の情報をもらい保健室を飛び出し情報収集に向かった。


***

「というわけでこんな感じだよ~」


と美玖先輩の報告を私は生徒会室で私は受けた。


「わかったわ。美玖先輩。お疲れ様。」


と会長である私はねぎらう。


「ねえ!ねえ!どんな子なの依頼人!」


と美玖先輩はワクワクを抑えきれていない。


「普通の眼鏡をかけた女の子よ。」


「そっか~」


そこにはじめが帰ってくる。


「遅いわよ!」


「はいはい。すみませんね。」


「で、どうだった?」


「うーん。ここから行ける距離だと水族館がアクアリウム展やってたぞ。」


そうはじめには、イベントが近くでやっていないか調べさせていたのだ。


「つうか、まじで、そんなすぐに告白まで行かせる気かよ。」


「ええ、勝利の方程式は見えたわ!」


美玖先輩のリサーチでの山川さんの異性のタイプはわかったし、あとは庶務のあの子の力を借りれば完璧よ!


山川さんには次の日に来てもらい作戦を伝えた。


「……普通のデートプランじゃないですか?」


山川さんの第一声はそれだった。


不安そうにそういった。


「大丈夫。このデートプランで私の紹介した人のところに行けば全部うまくいくわ!」


「知ってるでしょ!私は依頼を失敗したことがない。この先失敗するつもりもないわ!」


「そうですよね!ほかの人も恋愛の相談に来て成功したという話しかききませんし!」


そして山川さんは自信がついたようだった。


***

会長ちゃんからメールが来た。


あたしは、美容師の親の元、美容師の仕事を教えてもらいながらメイクも勉強している男子高校生の庶務河原泰司。


どうやらまた面白そうなことをしようとしてるみたい。


「あのごめんください」


と女の子が来る。


「金剛さんの紹介で来たんですけど……」


「ええ、聞いてるわ。さ、座って。」


とあたしは、散髪台へ促して、髪を切っていく。

そして、切り終わり、鏡で確認してもらう。


「わあ、すごいです!」


と少女の表情はぱあと明るくなった。


「それは良かったわ。」


その後メイクを教えて帰した。

帰り際に笑顔で


「ありがとうございました!」


と少女は言って頭を下げた。


「気にしないで。」


とあたしは言い手を振って別れた。


さてうまくいくといいけど。


***

生徒会の人にいろいろサポートしてもらったんだからうまくいくはず!

そう言い聞かせて、家を出る。


今日は良助君とのデートの日だ

勇気を振り絞りメールをしたら、オーケーしてくれた。

良助君とは幼馴染で、たまに一緒に下校する関係だった。


そこから一歩関係を進めたかった。


待ち合わせ先には、先に良助君がいた。


「ごめん!待った?」


良助君は私を見てしばらく沈黙した後、


「……いや!ぜんぜん!」


と言って、目をそらした。

私は良助君が少し赤くなっているように見えた。


「かわいいね!」


私は魚を指さして言う


「……」

「良助君?」


「え?ああ!そうだな!」


良助君が遅れてそう言う。

こちらを見てぼんやりとしてたような。

そんな風にしながらもそのまま楽しみ。

イルカショーにも行き、笑いあった。

そして、夕方、水族館の近くの砂浜で告げることにした。


「良助君」


「……ん?」


声が出づらくなる。

唾を飲み込む。

呼吸しづらい。

私は息を整え、


「ずっと好きでした!付き合ってください!」


と頭を下げた。

彼はしばらく黙ったのちに


「先に言われちまったな。」


と苦笑した後


「俺もずっと前から好きだった!付き合ってくれ!」


と言った。


***

それを遠くで見てる僕と瀬奈


「好きだったの!?男の方も!?」


「ええ。山川さんから話を聞いたときそうだろうなと思ったけど、美玖先輩の情報で確信してたわ。」


「じゃあメイクとか何だったんだよ!」


「あれは自信をつけるため。彼女の自信の無さだけが問題だったのよ。帰るわよ。邪魔しちゃ悪いし。」


と瀬奈に強引に手を引かれて帰る。


「僕にくらい言えよな……」


と言いながらも、一緒に歩く。


「気づかなかったの?私くらいの恋愛マスターになると好意を誰が誰に持ってるかなんてまるわかりよ!」


「僕のも?」


「……いるの?」


とじろっと瀬奈が見つめてくる。


「どうだろうな」


といたずらっぽく僕は笑う。

瀬奈はふんっとふてくされてしまった。


夕焼けの中、瀬奈の後ろ姿を見ながら僕にも勇気があったらなあと思った。

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便利屋生徒会 風花 こたつ @kotatuyuki

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