本当に、町角にて知る人ぞ知る美味しいラーメン屋さんで聞くような、さりげない話。その不思議なお話も、するすると呑みこめていって……その先に待つは、のどかな町の裏に沸き立つ闇。塩バターラーメンのお供に、冷えたビールの代わりに最適の作品です。
面白い展開で目を引かれました。ラストも素晴らしかったです。意外な結末で驚きました。
静かな語り口に包まれた不穏で美しい短編──⋯湯気の向こうに見えるのは温もりと人の情そして、その裏に潜む冷たい狂気。何気ない日常の会話がいつの間にか恐怖へとすり替わっていく流れが見事で読み終えた後も胸の奥がざわつく。優しさと狂気の境目が曖昧で誰もがそのどちらにも傾く危うさを感じさせる──まるで一杯のラーメンのように湯気の奥に深い旨味と苦味が同居する作品です。猫好きにゃ、あぁ堪らん⋯⋯