私の始まり
ささまる
小さな始まり
私は、昔から自分に自信がない。
それは、時に生きづらさを感じさせるものだった。
人が自信満々に説明してくると、「きっと自分が間違っているんだ」と思い込んでしまう。
たとえ相手の方が間違っていても、その言葉を信じて従ってしまうのだ。
うまくいかないことがあっても、相手に何も言えず、ひとりで悶々とするだけ。
でも、そうしているといつの間にか、「人に合わせていれば楽なのだ」ということを覚えてしまった。
気づけば、ずっとその生き方で過ごしてきた。
それでも、心のどこかで「何かを変えたい」という思いはあった。
少しでも興味が湧くと、いろいろ試してみた。
ゴルフ、英会話、ヨガ。
お金をかけて習ってみたけれど、どれも長くは続かなかった。
家でできることも挑戦してみた。
健康やダイエットのために、ファスティングやストレッチ、食事の改善など。
それでも、気づけばどれも中途半端に終わっていた。
なぜだろう。
ふとした瞬間に、「意味がない」と思ってしまうのだ。
これを続けたところで、私にどんな価値があるのだろう。
そう思った途端、胸の中の熱がすっと冷めていく。
私はそれを、「飽き性だから」「甘えているから」「堪え性がないから」だと決めつけていた。
そんな自分は仕方がない。
――そう思っていた。
そんなとき、ネットである言葉を見つけた。
「自分に自信のない人は、何ひとつやりきれたことがない人だ」
その言葉が、胸の奥に深く落ちた。
私はこれまで、何かをやりきったことがあっただろうか。
高校、大学、就職と、特に苦労もなく進んできたけれど、
「頑張って手に入れた」と言えるものが何ひとつ思い浮かばなかった。
そんな私が、何かに価値を求めること自体、間違っていたのかもしれない。
それでも、心のどこかで思ってしまう。
何かを、本気でやりきってみたい。
そしたら、何かが変わるかもしれない。
そんな小さな気持ちが、私の中で静かに湧いてきた。
それが、私の「始まり」だと思っている。
私の始まり ささまる @jinsei4649
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