その恋は刹那ではなく永遠に
冬乃一華
第一部
捨てる神あれば
第0話 プロローグ
家に帰りたくない。
なんて、誰しも一度は思った事は無いだろうか。
思春期特有の拗らせたモノであったり、何か居心地が悪いからとか、理由は人それぞれあるだろう。
でも、一度は思った事があるんじゃないかって。
わたしは勝手にそう思ってる。
だから、わたしは家出をしたんだ。
理由は……家族に嫌われてるから、とか言ってみようかな。
特に母親からだ。
でも……正確にはどうだろう。
だって、あの人は母親じゃない。
血も繋がっていないし、言葉を交わした回数も数える程。
お互いに無関心だったんだと思う。
わたしはそれで良いと思ってた。
連れ子に愛情を抱くって簡単じゃ無いだろうし。
再婚あるあるってヤツだろって。
なら、こっちも最低限やって行ければ良いか。
何て気軽に考えてたから。
でも、ほんの3年前までの事。
2人の間に赤ちゃんが出来て事態は急変した。
小さな小さな妹の誕生だった。
初めて出来た
それを可愛いって思えたら良かったのに。
わたしは家族だと思えなかった。
だって、父が変わったんだ。
新しい娘に歓喜して、母と共に溺愛するようになった。
別れた女の娘を心の何処かで嫌ってたんだろう。
それからは、わたしに冷たい視線を向けるようになったんだ。
わたしは邪魔な存在なんだって嫌でも理解させられた。
ああ。再婚って、こういうリスクあるんだなとか。
まあ……こうなるか、とか。
ショックを受けてるのに頭は妙に冷静で。
きっと、わたしは素直に受け入れたんだ。
もう……何処にも居場所は無くなったって。
そう。
今のわたしは。
独りぼっちなんだ。
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