無色

鈴音

無色

 私は色を失った。絵筆は鈍色に染まっている。真っ白なキャンバスにはもう二度と色を付けることはできない。それでも、どうしても色を再び付けたかった。

 鈍色の絵筆をキャンバスに当ててみる。そうしたら絵ではなく言葉を書いていた。無意識だった。その言葉たちはキャンバスから飛び出して自由に飛び回り始める。

 私は色を失った代わりに言葉を手に入れた。

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無色 鈴音 @suzune_arashi

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