第4話 変なモノ。
俺達に毒は効かないという会話を、おっさんと男達が真剣な表情で見ている中、ズズズ……とお茶を飲む俺とヒヨ。
するとおっさんが。
「それで金を売りたいと言っていたが物は?」
俺は腰の後ろに手を回し、1キロの金の延べ棒を物質生成で創るとテーブルに置く。
「1キロある。現在の価格がどれくらいか知らないが、それを100万で買い取らないか?」
おっさんが男を見ると男が頷き、スマホで時価を検索するとおっさんに見せる。
「……1500万」
マジ?
1キロは創り過ぎたか。
「本当に100万で良いのか? まさか偽物?」
「いや、本物なのは確かだ。誰か分かる人を呼んで調べてもらって良いよ?」
「……後で調べよう。それで? なぜ1500万の金を100万で売るんだ?」
「だから言ったろ? 身分証が無いからだと……100万で売っても良いが、他にも頼みたい事がある」
「……言ってみろ」
「東京までの飛行機でも新幹線でも良いからチケットを代わりに購入してほしい。あとスマホも用意してくれ、もしやってくれるなら……もう1つやる」
そう言ってもう1つ金の延べ棒を創り出す。
「お前達、金の密輸でもしてるのかね?」
「いや、それは……俺の超能力で生み出したと言ったら?」
「「っ!?」」
「とまあ冗談は置いといて、それでどうする? 100万とスマホ2台とチケット、用意してくれるのかな?」
俺の問いにおっさんは腕を組み考え込むと、横に立つ男が口を開く。
「どこの者だお前?」
「どこの? ……あぁ、組織には属してない。個人だよ」
「ならお前らを今攫えば、金はただで手に入るって訳だ?」
おっさんを見ると、何も言わず黙って様子を見るようだ。
馬鹿だねぇ。
「パパどうするの?」
「ん~……おっさんだけ残して他は始末するか?」
「「っ!?」」
ピリと空気が張り詰めるリビング。
対面にはおっさん、その横にはスーツを着た男、更に俺達の背後に2人のスーツを着た男。
リビングの外にも4人居る。
その全員が警戒態勢に入った。
「それじゃ東京までのチケットが手に入らないんじゃない?」
「あぁ~……おっさん、この中で一番役に立つ奴は誰かな?」
「なぜそんな事を聞く?」
「役に立つ者以外は……ね?」
そこで軽く威圧を放つと、おっさんも男達も身体が震えて動けなくなる。
「そこの男が俺達を攫うって言ってたけど、勘違いしないでほしい……お前達はいま、俺に生かされてる事を」
「私も超能力でドンッ! ってやっちゃう?」
「必要があればな。それまで大人しくしててくれ」
「は~い」
威圧を解くと全員が深く息を吐き出し、肩で息をし出す。
かなりの緊張感だったろう。
いつ死んでもおかしくない感覚に襲われたはず。
「……分かった。金を買おう。必要な物も用意する」
「助かる」
ニコっと笑うとおっさんは。
「今のも超能力か?」
「まあそうだな」
「ふぅ~……おい」
おっさんが男に声を掛けると男は頭を下げ、部屋を出ると何人か連れて家を出て行った。
「ところで後藤さん」
「な、何かな?」
「あんた、右肩重くない?」
「確かに最近調子は悪いが、歳のせいだろう」
俺はヒヨと念話で話す。
『おっさんの肩に憑いてるの視える?』
『視えるねぇ。あれってなに?』
おっさんの右肩に、ずっと憑いてるモノが居る。
人でもなく動物でもない。
変な生物?
普通の人には見えてないから普通の生物ではないだろう。
ギョロっとした丸い目に、丸く開いた口には細かい牙がズラッと並び、鼻も耳も髪も無く、全身薄黒い緑色をした生物。
短い手と人間っぽい上半身。
大きさは赤子より少し大きいくらいかな?
足はどうなってるのかは、おっさんの身体に隠れて見えない。
小さな声で『キィーキィー』鳴いてる。
「子供?」
ヒヨがそんな事を呟く。
「子供がどうした?」
「いや、後藤さんの右肩に小さな子供っぽい変なのが憑いてるんだよね」
「っ!? 男の子か!?」
「さあ? ただ人間には見えないな」
「そうか……」
肩を落とすおっさん。
俺とヒヨは見合って何かあると思い、おっさんに何かあったのか問う。
「いや、私の息子と妻が行方不明になったんだが、死体も見つかってない」
「どっかの建設現場に埋められたんじゃね?」
「妻と息子は関係無い!」
「おっさんがやってる仕事だろ。恨みを持った奴が奥さんと子供を狙った可能性もある」
おっさんは黙り込んだ。
それより俺とヒヨは、おっさんの右肩に乗ってるモノが気になる。
あんなモノは、異世界でも見た事が無い。
看破で視えるか試すと。
『ヒヨ、あの変な生物。魔物らしいぞ』
『えっ、地球に魔物が居るの!?』
『いや、よく心霊系でも言ってるの知らないか? 悪霊や怨霊の次にヤバいのが魔物で、その次に悪魔だって』
『見た事ないから知らない。でもそういう意味の魔物って事ね。ならゴブリンとかそういう魔物じゃないなら放置して問題無いかな?』
うむ、こういうのは霊媒師や霊能者の仕事だから放置で良いか。
『放置で良いだろ。どっかの霊能者が祓ってくれるんじゃね?』
『なんなら祓ってお金もらう?』
『もうお金は貰えるからいい。ただ……街中で見かけたら倒せるか試してみるか』
『だね』
霊能者ってどうやって祓ってるんだろ?
お経とか言えないけど、魔力で出来るかな?
いや、負のモノならマナの方が良いか?
……ダメだ。
気になる。
「ちょっとジッとしててくれ」
「何だ?」
「良いから」
俺は右手を魔物に向け、魔力の塊を放つとその瞬間、肩に憑いていた魔物が一瞬で弾けて霧のように消滅した。
俺とヒヨは目を見開き、起こった事に驚く。
が、おっさんは。
「ん? 肩が軽くなった? 本当に何か憑いてたのか? そういうのを視る力を持ってるのか?」
「……あぁ、まあ、ちょっとね」
「なら2階を視てもらえないか?」
「はっ?」
「少し前から誰も居ないのに人の足音がするんだ。視えるなら祓ってもらいたい。もちろん礼はする」
俺とヒヨは見合うと念話で。
『用意出来るまで暇だし良いか』
『放置するんじゃなかったの?』
『気になったら試したくなるじゃん?』
『まあ私も気になってたから良いけど、本当に霊能者みたいになってきたけど、良いの?』
『問題無いだろ』
『じゃあ次何か居たら私がやる!』
『了解』
念話を終了するとおっさんに2階を視る事を了承し、3人で2階へ行く事になった。
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