VRMMOと異世界で最強忍者になった男は暗躍する。

あれです。

1章 生存者

第1話 降り立つ忍者。

フルダイブ型VRMMO『グランドフリーワールド』から突如異世界に転移させられ、異世界でもいろいろあった末、次元高炉から瘴気が溢れた事故? でまた友達で皇帝の元プレイヤー、ヒヨことヒヨコ姫と一緒に異世界に転移した俺だが、気付けば俺とヒヨは空に転移させられたらしく落下。

ヒヨは瘴気にやられて気を失っていたので引き寄せ、俺が抱えながら重力を操り、空中に浮いて落ち着いた後、近くの島の山中に降り立ったヒヨと俺。


降りる途中島にある街並みや道路に書かれた停止線と『止まれ』の文字を見て気付く。

ここは日本だと。

俺とヒヨは異世界から日本に転移したらしい。

だがここが、俺の知る日本なのかはまだ分からない状態だ。


木々の隙間から地面に降り立ち、抱えたままのヒヨを見ると苦しそうな表情は無く、気を失ってるだけの様子。

かなり強力な瘴気だったからな。

なので特殊空間に小屋とベッドを創り、そこに寝かせてネズミ型の使い魔を1体待機させて俺は、街中を調べる事に。


特殊空間から山に戻ると木々の隙間から見える夜の小さな街を見て、人が居ない道路に目視で転移。

T字路の交差点に転移した俺は、馴染みのある点滅してる信号機を見上げ、その横にある看板を見ると知らない地名なのを確認。

まあ、島だからね。

だが日本なのは間違いない。


俺は街の方を見て歩道をのんびり歩きながら、周囲の景色を眺める。

右手には山と畑、左手には海。

道路に車は走ってない。

何時くらいだろ?

人も歩いてないし。


チラホラ道路沿いに、シャッターの閉まった店らしきものがあり、徐々に建物が増えて来ると全ての店や建物は閉まった状態。

街の中心の方に行ったら誰か居るはずと思い、そのまま歩いて行くと提灯をぶら下げた居酒屋を発見。

空間感知で中に数人居る事を確かめ、暖簾を捲ってガラッとスライドドアを開ける。


入るとカウンター席しか無い細長い店で、奥に3人のおっさんと若い男が2人、カウンター内に頭にタオルを巻いた店主らしきおっちゃんが立っており、全員が入って来た俺を見て固まった。


「すみません、電話ってお借り出来ますか?」

「えっ、あぁ……」


店主が答えにくそうにしてる間に俺は、真眼で情報を抜く。

ここがどこか?

どうやらここは、石鳴き島というらしい。

聞いた事ねぇ。

日本のどの辺りなのか情報を抜くと、沖縄の近くとの事。


おっちゃんが答えるのを躊躇ってると客のおっさんが。


「兄ちゃん、この辺りの人じゃないね?」

「ええ、旅行で来てるんですけど、スマホを落としてしまって」

「あぁ、それで電話か、大将、それぐらい良いんじゃないの?」

「じゃあ、俺の携帯使って良いよ」


店主の大将がそう言ってスマホを出してくれたので受け取り、実際に使っていた自分の携帯番号を入れ、掛けてみると『現在使われておりません』というガイダンスが流れた。

俺の携帯が……。


「ありがとうございます」


お礼を言ってスマホを返しながら、壁に掛かったカレンダーを見ると『2053年6月』となっているのを確認。

俺がゲームをやってたのは『2045年8月』だから『約8年後』の世界。

同じ世界線ならの話しだが。


「では」


そう言って店を出ようとしたところでふと、店の奥に立つ女性が目に入り、そちらを見ると皆もそちらに目を向ける。


「なに? 奥にはトイレだけだよ?」

「あっ、兄ちゃんもしかして視える人?」

「またその話かよ」

「もういいって……」


あぁ、どうりで半透明のはずだ。

あれは幽霊ってやつだな。

俺からしたらただの死霊である。

すると大将が。


「兄さん、何か視えんの?」

「ええまあ、女の人が」

「マジかよ」

「視える人、皆同じ事言ってんじゃん」

「やっぱりあいつが言ってたのは本当なんだな」

「兄さん、お祓い出来る人? 客の中にもたまに奥に女が立ってるって言う人が居てさ」


お祓いは出来ないが、浄化する事は出来るぞ。

でも……あの女、悪い感じはしないな。


「ちょっと話を聞いてみても?」

「どうぞどうぞ」


奥へ行き、女の前に立つと念話で話しかける。


『ここで何をしてるのか聞いても?』

『この雰囲気が好き、居心地が良い』

『成仏しないのかな?』


すると首を横に振る女。


『何もしないならこのまま放置するけど、店に迷惑が掛かるから客が居る時は隠れるようにした方が良い』

『お酒飲みたい』


生前は酒飲みか。

俺は振り返り大将に女が、この店の雰囲気と酒が好きで居る事を伝えると。


「じゃあ酒をお供えした方が良いかな?」

「それで良いと思いますよ。そうすえば店に幸運を運んでくれるかも?」

「あんたマジで視えるんだな。会話も出来るとは」

「いえいえ、では失礼します」

「お礼に一杯飲んで行くかい?」

「いえ、スマホを探さないといけないので」

「そうか、引き留めても迷惑だからね」

「良い話のネタが出来たよ」

「俺も帰ったら話そう」

「はいはい、幽霊なんて居る訳無いだろ」

「あぁ、お前信じない派だもんな」


俺は大将に軽く頭を下げて店を後にした。



店を出た後、来た道を戻って山へ向かう。

ここで転移すると監視カメラに映っちゃうからね。

店内の時計で確認したが現在夜の11時ちょいだった。

夜のうちに本土へ行った方が良いかな?

……ん?


ふと先程の女の死霊とのやり取りと思い出し、違和感を感じた。

なぜ普通に念話で会話が出来のか?

……あぁ、俺が死霊魔導神スキルを持ってるからか。

日本で霊能者の仕事でもしようかな?

なんてね。


とりあえず本土に渡って8年前の事を調べよう。

俺達の事がどうなってるのか、死んだ事になってるのか確かめないと。

交差点に戻って来たので上空へ転移し、重力を操って本土に向かって飛び出す。

カゲに乗ったらすぐだけど、衛星とかいろいろ目があるから流石に乗れない。

今は隠密を発動させてるので、人の目には入らないはず。


島から海に出ると急降下し、海のスレスレを物凄い速さで飛んで行く。

ただ重力を操って飛ぶのは、かなり集中力が必要で結構難しい。

なので普段は飛ばないのだ。

途中、ふと思い。

術を解除して足に魔力を纏い、海の上に立つとそのまま走って本土へ向かう。

この方が訓練に丁度良いね。


東京に転移しようとしたけど無理だったのは、この身体で来た事無いからなのかそれとも、別の地球だからなのか……。

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