第316話 見守る師匠。
古代兵器を破壊した後、海王達と宴会をしてると海の支配者を決める大会の話になり、ゼロと螺旋が参加すると言い出した。
なら俺も参加すると言うと海王達が全員拒否。
その理由は、俺が精霊神だからだとさ。
海の精霊を従える俺が相手だと海の生物は誰も勝てないらしい。
精霊抜きでやると言っても拒否されたので諦め、ゼロと螺旋はヒヨとミルクにそんな事をしてる暇は無いと説教を受け、2人も辞退。
そんな事もあったが宴会は無事終了し、俺達は各々国へ帰る事に。
帰った後は皆事後処理に追われ、俺も仕事をしながら訓練をする日々を送っていた。
古代兵器との戦いで使った技を磨き、完全なものにするためだ。
それと精霊神の力を確認するためでもある。
しかし神といってもシドとラビーのような完全な神ではなく、まだ神の見習い状態らしく、神の力はまだ何も使えない事が判明。
もっと信仰が集まったら完全な神になるのかな?
古代兵器を倒してから3日後。
いつもどおり訓練空間で訓練をしてるとサヤから念話が届く。
『地球でスタンピードが発生、至急戻ってほしいってさ』
地球でスタンピード?
早くね?
『スバルが居るから大丈夫だろ』
『それがそうでもないみたい。ミコトちゃんが言うには、世界中で同時に起きたらしくて、タムラさんは覚えてるよね?』
なぜここでタムラさんが出てくる?
『ああ』
『彼が言うにはスタンピードの元凶は魔王種らしいよ』
魔王種!?
『だから力を得て間もない地球の冒険者には、止める事は出来ないって……確かに魔王種が居るならマズいんじゃない?』
『すぐ戻る』
『私は仕事があるから行けないからよろしくね』
『おう』
念話を終了し、クリーンで全身を綺麗にすると城の執務室に転移。
ふとミコトがなぜサヤに報せたのかと思ったが、俺が訓練空間に居たから繋がらなかったんだと理解した。
流石にゲートで世界が繋がっててもその先で別の次元に居れば、念話は届かないんだな、と納得。
執務室で仕事をしてる1号に地球に行く事を伝え、ゲートに転移してゲートを潜り、家の玄関前に転移すると玄関の中にタムラさんが立っていた。
「早!?」
「っ!? キジ丸さん!」
「どうも、スタンピードが発生したって? 状況は?」
ミコトに聞くと。
「スバル君と幽玄の里、陰陽の里が出てるよ」
あいつらも行ったのか……なら多少は対処出来るな。
ただ魔王種はマズい。
今のあいつらには倒せないだろう。
「でもスタンピードで魔王種が生まれるって聞いた事無いが……」
「本当の事ですよ。エルフの国に居る時古い文献を見させて頂いた中に、スタンピードの事も記されていました」
タムラさんの話によるとスタンピードは、人や外の生物が長い間ダンジョンに足を踏み入れない時に起こり、その原因はまずダンジョンが周辺のエネルギーを吸収し始め、その後ダンジョン内の生物のエネルギーを吸収し始める。
ダンジョン内には大量のモンスターが居るため、全てのエネルギーを吸収した時、高濃度の魔力溜まりが出来上がり、そこから魔王種が生まれるという。
「魔王種が生まれた瞬間、ダンジョンは高エネルギーを放出するため大量のモンスターを生み出し、それがダンジョンから溢れる事でスタンピードが起きると言われてます」
「へ~、そういう仕組みか」
「なので最初に生まれた魔王種を仕留めない限り、スタンピードは止まらないんですよ」
「なるほどね。とりあえず上がろうか、ミコト、お茶くれ」
「は~い」
「タムラさんもどうぞ」
「ありがとうございます……ってそんなのんびりしてる場合じゃないですよ!?」
「大丈夫ですよ。俺が来たんですから」
そう言うとキョトンとして固まるタムラさん。
「キジ丸さんがそう言うと大丈夫な気がしてきました。ではお言葉に甘えてお邪魔します」
そう言って靴を脱いで居間へ行くタムラさんを見送りながら俺は、ダンジョンに潜ったメンバーとスバルの現状を死神の眼で確かめる。
すると幸一郎は大きなクマと戦っており、リンとアラキはクモと地竜、スバルは首無し甲冑と戦っていてゲンも一緒だと判明。
今戦ってるのは魔王種じゃないが、強さ的には丁度良い訓練になるため戦わせる事に。
ついでに分身を送っておく。
俺も居間へ行き丁度ミコトがお茶を持って来てくれたのでタムラさんの向かいに座り、のんびりお茶を頂く。
タムラさんがお茶を一口飲んで口を開いた。
「今世界中でスタンピードが起きてるそうですよ」
「世界中で? スタンピードが起きるには早すぎる気がするんですよねぇ」
「それはおそらく、世界に存在する生物の数が関係してると思います」
「あぁ、地球の方が人間は多いし動物も居ますからねぇ」
異世界にはモンスターも居るが、生物の数は地球よりは少ないか?
そこでミコトが自分のお茶を持って来て誕生席に座ると。
「いきなり叫んで来たから変質者かと思ったよ」
「そんなに?」
「はは、いやはや、すみません。初めまして私はタムラと申します」
「私はミコト、よろしくね」
「もしやキジ丸さんの……」
「従者だよ」
「従者?」
「彼女はレイスロードですよ」
「っ!?」
タムラさんは目を見開いてジッとミコトを見る。
「日本人ですよね?」
「はい」
笑顔で答えるミコト。
元日本人だぞ。
今はレイスロードだからな。
そんな話をしながら分身と感覚共有をして皆の戦闘を見てると、幸一郎達がユニークスキルを習得した。
やっぱり戦わせて正解だったな。
すると戦闘が終わり、魔王種の存在に気付いたようで、警戒しながら奥へ進む皆。
おっと、あの大量のモンスターが地上に出るのはまずいので、分身をそれぞれ2体ずつ送り込み、皆から離れた場所で殲滅させる。
「どうしたんですか?」
「ん? あぁ、ちょっと……」
目を瞑ってるとタムラさんに聞かれてしまったので誤魔化す。
そこで丁度魔王種の下に辿り着く皆。
うん、こりゃこいつらには無理だな。
スバルの所なんて不死王だし、あの靄に触れたら2人なら死ぬぞ。
リンとアラキの所は魔王種のドラゴン。
初めて見た。
幸一郎の所は、初めて見るタイプだ。
観察はここで終了、さっさと始末して終わらせよう。
俺は幽玄の里の所にキジ丸の分身を送り、スバルの所には俺が直接転移した。
魔王種を前にして固まってる幸一郎の背後に分身が現れた瞬間、魔王種が動く。
「っ!?」
魔王種が右拳を突き出し、幸一郎の目の前で拳が迫ったところで魔王種が動きを止め、そこで幸一郎は攻撃されそうになっている事に気付き、目の前の魔王種がなぜ止まってるのか見てると魔王種の全身に線が入り、バラバラになって絶命。
「……何が」
「よう」
「っ!?」
バッと振り返ると幸一郎は、俺を見て固まった。
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