第2話 VS盗賊団
洞窟を根城に盗賊団が悪事を働いていた。
銃や剣を手に各地を暴れ回り金品を巻き上げる。
洞窟の中は黄金や宝石で満たされていた。盗賊団の首領が酒を飲みながらそれらの
光景に満足げに目を細めていると、どこから侵入したのかひとりの少年が草鞋をペタペタと鳴らしながら入ってきた。
「お主ら。人々から奪った金品を返すでござるよ」
「ガッハッハッハ! お嬢ちゃんが俺たちを相手にするっていうのかい。
笑わせるぜ」
盗賊のひとりが言った。
「帰ってミルクでも飲んでやがれ」
明らかにバカにした物言いをされても川村猫衛門は動じず口元に八重歯を覗かせた微笑を浮かべて告げた。
「あくまでも返す気はないと申すでござるか」
「当たり前だろ。この宝は俺たちのものだ。欲しけりゃ奪ってみな」
盗賊のひとりが煽ると川村は嘆息した。
「拙者としては穏便に済ませたかったが、仕方ないでござるな」
川村は抜刀し、盗賊のひとりを一刀両断に斬る。
斬られたことを認識できぬままに絶命し、真っ二つの状態で倒れた強盗の身体からは血がとめどなく流れている。
盗賊団は絶句し、次の瞬間には行動に移していた。銃を構え、発砲。狭い洞窟内で逃げ場はなく川村には蜂の巣にされる運命が待っていた。
けれど川村は飛んでくる銃弾に優しく刃を当てて威力を相殺しポトリポトリと地面に落としていく。斬ることも可能だが落とした方が剣技の腕が伝わりやすい。
やがてカチカチという虚しい音が響いた。
川村はニッと笑って。
「もう弾切れでござるか」
「バ、化け物だ!」
「し、死にたくねぇ!」
盗賊たちの怯え震え後退する様を見て川村は刃を鞘に収納して。
「おとなしく警察に自首するのであれば見逃すでござるよ」
「する。するから命だけは!」
「これまで金品を奪われた者たちもお主らと同じく命乞いをしたでござろう」
紡がれた川村の言葉には重い響きがあった。
強盗たちに金品を巻き上げられた人達も命乞いをしたはずだ。
けれど強盗たちは私利私欲を優先し物だけでなく命さえも奪ってきた。
本来ならば切り捨ててもいいような輩たちではあるが、それでもほんの僅かな改心してくれるのではないかという幻想を振り払うことができなかった。
川村は踵を返して去っていく。
翌日。強盗団の大量自首の記事が新聞を大いに賑わせた。
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