想いの跡

はるか　はるか　昔の話

文字を持たなかった頃　

ここで暮らしていた人たちは

何を想っていたのだろう

その日を生き抜くことを　考えていた日々から

みんなの幸せを　考えるようになるまで

どのくらい時間が必要だったのか

いや…

それとも…

初めからみんなの幸せを　願っていたのか

食べ物の痕跡

食器の痕跡

家の痕跡

集落の痕跡

たくさんの跡を残して

確かに　ここにいたと

力強く　伝えている

現在を生きる私は

想像の海に　ダイブする

どんな営みをしていたの

どんな困難を乗り越えたの

何を願って　生きていたの

願いは叶ったのか　叶わなかったのか

私では　とても想像し得ない

時代の空気も　あっただろう

たくさんの孤独も　あっただろう

乗り越えた先に

涙を流すほどの　喜びがあったなら

心が震えるほどの　感動があったなら

そうして経てきた　営みが

つないで　つないで　つながって

今の私があることを　

そっと　胸に留めておこう