奇跡に同行する私たち
雷极艾斯
第1話 縁と縁の始まり
「うん、それでいいよ、今日から君は高校生だよ」
母親は最後に幸子の胸のリボンを整え、家を出て高校生活に入るのを見送った。
幸子は軽やかな足取りで道を歩き、これは彼女が降星町に引っ越して以来一番楽しい一日だった。
同時に彼女の高校生活の始まりでもあった。
星の川女子学院の校門の外は人でごった返し、幸子はその中で美しい姿を見つけた。
青いポニーテール、愛らしい顔に眼鏡をかけている姿に、幸子の心にそわそわとした気持ちが湧いてきた。
幸子が話しかけようとしたが、混雑した人混みで二人は離れてしまった。
天の導きか、二人は同じクラスに配属され、さらには同席している。
「石上幸子と申します。私と母は、先月この場所に着いたばかりです」。
授業中、幸子は自己紹介を終えた後、座って同じテーブルを見て微笑を浮かべた
「こんにちは、よろしくお願いします、お名前は何ですか?」
「……え?私、私、空野彼方です」
突然の挨拶に空野は少し緊張した。彼女は誰かと声をかけられることに慣れていない。
学校ではいつも一人で過ごすのが好きで、目立たない子供だった。そんな生活に慣れていた。
しかし、その短い瞬間の視線のやり取りが、彼女たちの運命を互いに引き寄せ始めた。
授業中の幸子はいつもバカみたいに見える。
幸い、空野は毎度「(彼女は本当に優しくて)」と彼女を気遣っていた。
空野の優しさのすべてが、幸子の心に刻まれていた。
ただ、空野は彼女が自分に恋愛感情を抱いていることに気づかなかった
昼休み、空き時間があるたびに空野は屋上へと向かい、魔法を練習していた。
最近では、魔法少女のように魔法チェンジする練習を繰り返していた。
左手の手首に変身器を装着し、右手を左手の上に重ねて十字の形にする。
「魔法チェンジ!……また失敗した……」
すでにどのくらいの回数目かを忘れてしまった
「えっ、何してるの?」
突然の声に空野はびっくりして振り返ると、そこには幸子がいた。
「幸子、どうしてここに?……君、私を尾ついてるの?」
幸子は首を振った。
彼女はただの偶然で、空野の後をついてきたのだ。
「ただ君を見てたかったのよ。それに君の弁当、机に忘れてきたのよ。」
幸子は空野と一緒に天台の椅子に座って昼食を始めた。
幸子は右へとずらして、空野に近づこうとした。
「私は君が好きだ。」
幸子の一言で、空野は驚きすぎて飯を噴きかけそうになった。
「あなた、何って言ってるの!?」
空野は突然の愛を理解できない。なぜ幸子が自分にこんなに惚れているのか、信じられない。
「どうしてそんなことを思うの?私、特別なところなんて全然ないよ」
「違うよ。優しくて気遣いもするし、お母さん以外で、この町の人の中で私を一番よくしてくれる人だよ」
幸子一家が降星町に引っ越してきて一か月にも満たない。彼女が分からないのは、なぜ街を歩くと一、二人の視線が不機嫌なのか、なぜ大人たちは自分を嫌っているのかだった。
「分からない。なぜみんな私を避けているのか、私は何を間違ったのか。」
「ええと、たぶん彼らは外地人を嫌ってるのかもしれないね。大丈夫、時間が経てば彼らの考え方が変わるよ」
「やっぱりあなたが一番良い人だよ」
幸子は空野の肩に頭を預け、笑顔でうなずいた。
「(この感じ、意外と良いかもね)」
二人は教室に戻る途中、隣のクラスのごれむ・ウェリントンに遭遇した。金色の長髪と青い瞳を持つ彼女は、一目でその存在を知っていた。
「わお~、めずらしいね、空ちゃん、新しい友達作っちゃったの?」
「……うん、はい、新しい友達を作ったけど、とてもかわいいよね?」
ごれむは幸子を上下に見渡し、頭を撫でながらこう言った。
「うん、確かにかわいいね」
「残念なことに同じクラスには分からなかった。じゃあ、失礼するね」
去る前、ごれむが振り返ってこう言った。
「あ、そうだ、一緒に来てもらえる?」
「何?」「ここでは話せないんだけど…隣の人が一緒に来てもいいよ」
彼女の背中を見送る中で、
「誰?」「Bクラスのごれむ・ウェリントン。
私と同じく暗に学校を守る魔法少女だよ」
「あ、そうだ、私たちが魔法を使うことについては、絶対に誰にも言わないでね!」
相手が何を考えているのか分からないけれど、二人はそれでもごれむについて、空いた音楽教室に来た
「あなたが私たちを呼び出して何の用事ですか?」
「朝の授業中に二宮ちゃんを見たことがありますか?」
「誰?」
「二宮鈴ちゃんですよ」
「知らない、直接話を聞かせて」
「このこと、たぶん私が考えすぎたのかもしれないけど、まる一午前だよ」
「彼女、ずっと頭を下げたままで、機嫌が悪いみたい。本当につらそうに見える」
「もう先生に伝えたよ、彼女のお母さんは午後来るかもしれないね」
「でも、やっぱりあなたに彼女の様子を見に行ってもらいたい。毕竟、機嫌が悪いのはめちゃくちゃ悪いことだから」
「わかった、空いた時間に見に行くよ。もし本当に何か起きちゃったら困るから」
「気分が落ち込むのは、そんなに悪いこと?」
「当たり前じゃない?ましてこの町で。あなたは機嫌が悪い時ないの?」
幸子は首を振った。
午後の課後
空野は二宮の机のそばに行き、話をするために立った。
「こんにちは」
「空野?君が俺に声をかけるなんて、思わなかったよ」
(「ええい、彼女は俺のことを知ってるのに、俺は彼女のことを知らない。超照れくさい…」)
「あの… 君、最近、機嫌が悪いみたいだけど、何か悩み事があるの?」
「ああ、それか。ふふふ… ははは!なんで?なんでだよ!」
「どんなに努力しても、君みたいに優れた人にはなれないんだ」
「どんなに頑張っても、母は君のような『いい子』だけを好むんだ」
そう言いながら、二宮は怒りを込めて空野の襟元を掴んだ。
「知ってるよね!俺の春休みがどんなだったか、知ってるよね?!」
「塾!塾!塾の外は何もなかったんだ!」
突然、二宮の頭の中で声が繰り返し響き始めた。
「怨みと怒りの魂よ、目を覚ませ!」
二宮は手を離し、「ごめんなさい」と呟いた。彼女の表情はさらに落ち込んだ。
「ねえ、こんな人生に、到底何の意味があるんだ?」
「人間は、ただ他人を打ち砕くために、そして打ち砕かれないために生きているの?」
「でも… 理解できない。こんな人生に、到底何の意味があるんだ…」
そう言った後、二宮は独りで憂鬱に歩き去った。空野だけがその場に愣然と立った。二宮の言葉が心に深く刺さった。
(「原来如此… この件は、俺にも関係があったのか?」)
「どうして私が自分で悲しくなっちゃったんだ? いや、もし彼女がバカなことをしちゃったら大変だ!」
どれだけ時間が過ぎたのか分からないまま、彼女は廊下の端に立ち、手すりに手を添え、校庭の賑わいを眺めていた。
彼女はとても羨ましがっていた。考えると、自分がこの世にふさわしくないのかもしれない。
空野は必死に走ったが、間に合わなかった。二宮はもう一足踏み出していた。
「やめて!」
二宮は空野の声を聞いた。足を止め、彼女を見つめた。
「小鈴」
「母?ようやく来たのね」
「この子!何してるの!三つ数えるから、バカなことしちゃうな!」
母の言葉が二宮の自殺の念を強めた。
「ははは…、やっぱりお前は変わらないな。俺がこんな贅沢な願いを持っていたなんて」
死の瞬間、怨念に満ちた表情で遺言を残した。
「来世は、もうあなたたちと会いたくない」
そして首を傾げ、屋上から重々しく地面に激しく転がり落ちた。
さらに悪いことに、二宮の遺体からは邪悪な気配が立ち昇り、次第に集まっていった。
それは変色したカエルのような人型の怪物へと変貌を遂げた。
空野は二宮の母に目を向け、呆れ顔で「この野郎」と呟き、それから屋上から飛び降りた。
風の魔法で自分自身を降下させた。
「うわぁ、なんて可哀想な子供…魔法チェンジ!」ごれむが現場に現れ、二宮を哀れんでから変身装置を装着した。
変身後のごれむは金色の裙甲と青色の披肩姿。
ごれむは地面に散らばった石を拾い、怪物に向かって投げた。
その指輪が輝き、飛行中の石は鋭い棘へと変化した。
攻撃を受けた怪物はさらに狂暴化し、学校に大きな破壊をもたらした。
空野が魔法を唱え風を起こして怪物の注意を引くと、ごれむは周囲の落石を手に集め、拳套へと変化させた。
ごれむが突進し、怪物の顔面に一撃を放つと跳び上がり、頭蓋骨に再び突き刺さった。
「この距離、どう逃げるつもりだ」怪物が目から黒魔法の光を放ちごれむを打撃。
次に尾を振り飛ばし数メートル先へ。
怪物が口と両腕を開き、操場全体の悲鳴と恐怖がその餌となった。
次第に怪物は巨大化し始めた。
「ヤバい」空野が状況に驚き、ようやくごれむを支える。
「早く変身しなさい、二人ならまだ勝算ありそう」。
「そう簡単に変われるわけないよ。練習したけど使えたことないんだ」。
怪物が人形を脱ぎ捨て、巨大な変色龍怪獣へと姿を変え。
その口から無数の悪魔の虫が学生たちを襲う
その中には幸子も含まれ、彼女は群れの飛虫に追いかけられ、倒れそうになっていた
幸いその時、緑色の長髪をし、鋭い剣を手にした魔法少女が幸子の前に立ちはだかった,
彼女は手を上げて剣を振るい、目の前のすべての虫を斬り殺した。
「大丈夫ですか? あちらの体育館に行ってください、そこは安全ですよ」
幸子はうなずいて、すぐにその人が指す方向に向かって走り、逃げる途中で幸子は
空中に浮かんでいた小さな黒猫とぶつかり、,
「おい……お前は誰だ?」
私は小さな精霊です
「自己紹介します、私の名前は『みがしい こちさ』です……あなた、私の魔法少女になりませんか?」
「君の魔法少女になる?彼女らみたいなの?」
科绮紗はうなずいて、黒い変身器を彼女に渡した
考える暇はない、早く選択しなさい
遠くで学校を破壊する怪物と重傷を負った友達を見て、幸子は迷わずに装備を着けた
変身器
「それならまた試して、何度でも必ず成功する!」
「グレム」の言葉を聞いて、コウノはもう一度挑戦することを決め、集中してポーズを取った
「うん、うん……今回は絶対に成功する、魔法変身!」
魔法チェンジ
幸子が変声詞を叫ぶのを聞いて、空野は驚いて振り返った
「石上幸子?どういうことですか?!」
変身後の幸子は華やかな黒い衣装を身にまとって、黒い魔杖を持っていた
「俺だ!…何だったけ?」
科绮紗は傍らで自信を持って名前を言い当てた
「魔法少女LOVE」
「うん、そうだ、魔法少女LOVE!"
LOVEは魔杖を怪物に向かって掲げ、魔杖から巨大な魔法弾が放たれた,
一撃で怪物に前例のないダメージを与え、生じた強烈な光が怪物の体を覆った,
その後、loveは魔杖を振り、怪物の頭の上に黒い球体が現れ、パチパチと音を立てて、球体は
一本一本の糸のような魔法の攻撃に分裂する
幸子の魔法に次々と襲われた怪物は、瞬く間に透明化し、学校から逃げ出した
「え?どこに行ったの?」
「うーん……隠れもするなんて、面倒なやつだ」
空野たちにとって、この怪物は以前の危機よりもはるかに厄介だった
幸子はまるでゲームに勝ったかのように、空野の褒め言葉を求めた
「小彼方、僕、強いかな?」
「うん、確かにすごいね」
「ああ、本来なら私が君たちを守るべきなのに、逆に君に救われてしまった。魔法を学ぶには向いていないのかもしれないな」
「よしよし、君はもう十分やっているよ」
「ごれむ」は優しい口調で空野をなぐさめ、少し考えてみたら自分でも何か手助けできるかもしれないと思った
「君の魔法はなかなかいいよ、ただ変身が得意じゃないけど、もしかしたら僕が助けてあげられるかもしれないね」
幸子はこちさを連れて、嬉しそうに家に帰ってきた。
「これからは、君のことを『こちこち』って呼ぼうね」
幸子はこちさを連れて二階に上がり、自分の部屋に入った。そしてこれ、こちさに「こちこち」という名前をつけた。ただ、こちさ自身はこの名前が好きではなかっただけだ。
二人がにぎやかに話し合っているとき、母は静かに階段を上ってきた。
「夕食、もうすぐできるよ。え?」
部屋のドアを開けた瞬間、母は幸子がこちこちを抱いて戯れているのを見た。一人一猫、目が合った。見つかってしまったこちこちは、表情が慌ただしくなった。
「この子猫、どこから来たの?なんだか見覚えがあるわ」
「学校の近くで拾ったの。見て、どんなに可愛いでしょう…… 飼っていいですか?」
「本当に飼うの?」
「うん!きっとちゃんと世話できるから」
幸子のしっかりした目つきを見て、母も断れないようだ。部屋を出る前に、母は幸子に「自分で子猫の世話をする」と言って注意した。
「わかった。でもね、自分で責任を持ってね。よく見ていて、家の中を乱さないようにね」
「やった!お母さん、やっといなくなったね」
緊張していたこちこちは、やっと肩を落として安心した。
「うーん、君は私の小さな精霊だから、もっと何か教えてくれないの?」
「そうだね……」
「この魔法の本、君みたいな初心者には最も合うよ」
こちこちは尻尾をヒレヒレさせると、黒い魔法の本を取り出した。本の中には、使いやすい簡単な魔法や知識がたくさん載っていて、幸子が学ぶには十分だった。
「なんで、君がくれるものは全部黒いの?」
「センス悪いな。黒こそ一番かっこいいんだよ!」
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