頼りない彼氏としっかり者の彼女
MiYu
第1話
「いらっしゃいませー!こちらにお願いしまーす!!」
現在時刻は朝の8時。
「ご来店ありがとうございます。レギュラー、ハイオクどうされます?」
ここは彼が働くガソリンスタンド。
住宅街に店を構える小さなガソリンスタンドだ。
近くには地下鉄の駅があり、車の来店数は少ないが、その代わり洗車やコーティング、整備は多い。
「ありがとうございましたー!!」
給油を終え、お客様を送り出す。
「ふぁぁぁぁぁ」
『吹谷さんあくび見えてますよ』
「隠すもんでもないだろ」
『多少は隠してください』
「あいよ」
吹谷はインカムで会話する。
『吹谷さん、9時からコーティングです。車両サイズはLLサイズのミニバンです』
「俺が施工するのはそんなんばっかだなぁ」
『仕方ないでしょ、吹谷さん目当てのお客様なんですから』
「仕方ないなぁ」
吹谷とインカムで会話しているのは、
このガソリンスタンドで働くアルバイトだ。
「というか城森さんは、大学はいいの?」
「今日は全休なので問題ないですよ」
客がいないのを確認し、2人は近くで会話を始める。
「単位は取れてるの?」
「まだ2年の前期なのでいつでも巻き返せます」
「何故、巻き返す前提なんだよ、、、」
「そういえば、吹谷さん今日の昼は何食べます?」
「まだ朝なんだけど。昼ごはん気にするのは早すぎない?」
「ご飯を楽しみにしてないとかの仕事やってらんないでしょ」
「バイトの癖に達観してるなぁ」
「社会に揉まれた会社員を目の前で見てるので」
「こんな大人にはなるなよ」
「はーい」
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「コーティングメニューはこちらになります。全部で6種あるんですけど、当店で人気なのはこちらになります」
9時になり、霧崎はフロントにてコーティングの受付を行なっていた。
様々なオーダーを聞き、その最適解を提示している。
『吹谷さんコーティングはAコースです』
「はーい、施工時間は3時間だな」
『了解です』
吹谷は預かった車をコーティングブースに移動させる。
「それじゃあ俺、引きこもるから。なんかあったら呼んでー」
『了解です』
9時出勤のスタッフ達も揃い、今日も1日が始まる。
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「じゃあ時間になったんで、先上がりまーす。お疲れ様ー」
「私も上がりますね」
2人は8時から出勤しており、17時の定時には退勤する。
「ということで吹谷さん帰りましょー」
「えー」
「車の鍵開いてますよね?」
「当たり前の助手席に座るのやばくない?」
「良いじゃないですか、どうせ同じ家に帰るんですし」
「勝手に居座ってるだけだろ」
「それは吹谷さんが夜寂しそうにしてるからですよ」
「はいはい、そうですか」
2人は同じ家に住んでいる。
正確には城森が吹谷の家に住んでいるという状態だ。
「それに吹谷さん生活力ないじゃないですか」
「いや、俺一人暮らし始めて5年近く経ってるからね?」
「まあまあ」
「城森さんの方が生活力ないだろ」
「吹谷さんそれ以上はだめですよ?」
「まあ城森さんは仕事できるから別に良いけど」
吹谷は自分の車のエンジンをかけ、シフトレバーを操作する。
吹谷の趣味でマニュアル車のスポーツカーに乗っており、乗車できる人数も2人だけだ。
「2人っきりになれましたね、雄也」
「そうだなー」
「今日も好きです」
「ありがと」
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