第6話 告白

「僕が蘭丸君の恩人?そんなこと・・・。」


「俺の本性を先にさらすね。」


そう言って、ボンっと煙がでて妖狐の姿になりました。


「・・・きつね?」


「そうだよ。君が小さいころに俺は人間界に遊びにいった時に人間にいじめられたのさ。その時に君に助けられたのさ。」


直樹は思い出しました。小さいころ、不思議なキツネがボロボロの姿で倒れていた時に介抱したことを。


「でもどうして、夢に出てきて契約までしたのは?」


「僕の場合は夢でないと君に干渉できなかったんだ。まだ力が足りないからね。」


「だったらここにいるのは・・・。」


「契約が成立しているからね。契約さえあれば妖狐は人間界にこうやって干渉できるのさ。」


「そうなんだ。」


「だけど、直樹の願いは友達ができた時に直樹の魂をもらわないといないからすごく困ったよ。」


「なんで?」


「俺は直樹のことが好きだからさ。」


「え?」


直樹は困惑しました。まさかこんな自分を好きになってくれる人(キツネ)が現れるとは思わなかったのです。蘭丸は困惑している直樹の顔をまっすぐ見ながら話しました。


「助けてもらった時の温もりに心地よい声、誰に対しても思いやりのある人がこの世にいたんだってあの日感じたんだ。君の願いを叶えると永遠に会えなくなるのは何よりいやだったんだ。」


「蘭丸君・・・そんなに僕のことを考えてくれてありがとう。でもやっぱり気持ちは変わらないや。・・・僕と友達になってくれる?」


直樹の変わらぬ意思に蘭丸はどう答えてよいかわからなくなりました。答えたら彼を食べないといけません。ですが、蘭丸はずっと直樹と一緒にいたいという気持ちがあり、泣き出してしまいました。

 

「オレガナントカシヨウカ?」


なんと蘭丸の横に紫色のコウモリがいました。


「お前、直樹の魂を食べる気か?」


「ソウ、オコルナ。ワタシタチニタクサンエサクレタオレイガシタイ」


直樹は何がなんだかわかりませんでした。急に紫色のコウモリがでてきたからです。


「直樹、こいつは魂モリ(コンモリ)だ。ほら取り巻き軍団食べたあれだよ。」


「ああ・・・。どうしてここに?お礼とはなんですか?」


「コノキツネハムカシカラノナカ。キミガカドカリネガイシタカラゴハンタベレタ」


「あー、ようはカドカリが受け取った声は場合によっては魂モリに伝えられるんだよ。」


「そうなんですね。」


「んで、あんたこの契約どうにかできるのか?」


「ケイヤクタイショウノタマシイヲビョウインニイルヤツトカエレバソノコハイキレル、タダシ、キツネコノアトオサニオコラレル」


「そういうことか!直樹が生きてくれるなら怒られるなんてどうでもいい!」


そういうと蘭丸は直樹に言いました。


「再契約するから一度君には寝てもらう。安心して、契約なくても俺は直樹の味方だからね”」


その言葉をきいた時、直樹は心が温まるような気持ちになりました。


そして、直樹の視界は暗くなりました。


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