また夏が来るなら。
非 非国民
また夏が来るなら
朝、目が覚める。
また朝が始まる。
窓から外を覗いてみれば、雪が降っている。
すごく深く積もっている。
今日も働かなくては。
自分の為、仲間の為、家族の為。
荷物を運び、土を耕す。
その繰り返し。
この作業するの、今日で何日目だろう。
ああ、めまいがしてきた。
寒いな。
帰りたいな。
この積雪を布団にして、少しだけ寝させてくれ。
戦争は既に終結しているというのに。
家族の元には帰れない。
その絶望の中、私は目を閉じた。
そして、その目は二度と開かない。
シベリア抑留から帰還した日本人の数は約47万3千人。
その中に、自分はいない。
今も自分は、シベリアの大地で眠っている。
また夏が来るなら。 非 非国民 @teikokukokumin
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