詩人彗ちゃんとルーン文字の指環〜彗ちゃんシリーズ4
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第1話 プロローグ
いとこの
背が高く、涼やかな瞳とシャープな輪郭。
白いシャツに黒のパンツ、モノトーンの装いはいつも完璧で、まるで現実の人間ではないかのようだ。
今宵は彗ちゃんのマンションで、彼の手づくりの秋の味覚の料理を振る舞ってくれた。
ポルチーニ茸とアーモンドのポタージュを味わい
洋梨とクルミのサラダを味わい
じゃがいものガレットに手を伸ばす…
テラスの椅子に腰をかけ、夜風に髪を揺らされながら
ふたりは見上げる
そこには十五夜の満月が
空いっぱいに瞬く星たち
グラスのワインも、夕暮れの余韻も
すべてがきらめき、胸に優しく落ちる
「ほら、見て…」
彗ちゃんの手がそっと私の手に重なり
指先からじんわり伝わる温もりに
心までぽかぽかと満たされる
ポルチーニ茸とアーモンドのポタージュも
洋梨とクルミのサラダも
じゃがいものガレットも
すべてが、夜空の星とともに
ふたりだけの時間に溶け込む
開け放たれた窓からは、レースのカーテンがゆれ
どこからかキンモクセイの香りがする…
秋の虫たちが美しい音楽を奏でている…
「このままずっと、こうしていたいね」
小さな声で囁く彗ちゃん
笑顔と香りと、秋の風と星の光が
ひとつの魔法のように
心の奥で静かに輝く
もう、言葉はいらない
甘さも香りも、そして彗ちゃんのやさしさも
すべてが、今この瞬間だけの幸福
十五夜の今宵…
こうして今日の日は、永遠に忘れられない想い出の1ページになった…
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