美少女祓い屋奇譚
@moya_0228
第1話出会い
目の前にいたのは紛れもない美少女だった。
最近園田恵一という男は酷く身体が、そして心が怠かった。思い返してみれば数日前の友人の葬式からこの心身の怠さは続いているような気がする。亡くなった友人の地域の葬式はかなり異常と言えよう。なんせ参列者全員が笑っていた。クスクス又はゲラゲラと、笑っていた。恵一含む数人の地域外からやってきていた人間はあんまり奇妙かつ気味の悪さから何にも言えなくなっていた次第である。通夜後の食事を済ませた恵一達はそそくさと帰ろうとしたとき、恵一だけが呼び止められ、友人の実家まで連れられ小さな和室に通された。
そこはよく見ると職場でいつか見せられた彼の部屋に間取りに違いなかった。ただ写真と違うのは部屋にあった彼の私物が一切なかったのである。暫く呆然と立ち尽くしていると、彼の母親が白い浴衣のようなものと、白い足袋に白い顔布を持ってきて、それに着替えるよう言った。そのまま言われるがまま着替えを済ませ、彼の母親に「少し待っていて。」と言われそのまま言葉通り待っていた。
恵一は本当に気味が悪かったし、早く帰りたくてしょうがなかったが、彼と一番職場で仲のいい人物と言えば自分だと自負していたし彼を想うと彼の地元の方法でしっかり弔ってやりたかったので、ここで静かに言うことを聞いていた。そんなことを考えているとこの地域の偉い方だという厳しい顔をした爺がやってきて、よくわからない念仏とも違う言葉を呟きお神酒のようなものを掛けてきた。やけにアルコールの匂いが鼻についたのを覚えている。それからこの部屋で一晩明かせと言われそのとおりにしたら、その次の日には解放されそのまま出られたので、彼の実家からそのまま葬式に出て出棺と納骨を済ませ、帰宅したのである。ただ彼の母親がありがとう、ありがとうとしきりに言ってきたのは少し気になったが、亡くなった友人もよく人に感謝していたからそういう人柄だと恵一は自分の中で結論付けたのだ。
葬式が終わってその日から心身が怠く、日によっては仕事を休むこともあった。何とか今日も仕事に向かおうとしている時
「もし、そこの人。」
輝かんばかりの美少女に声をかけられた。
恵一のこれからの人生を狂わせる一等星の美貌を持つ女だった。
美少女祓い屋奇譚 @moya_0228
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