月見櫓

掌鳥

第1話

「え、今の日本語なのかしら」

授業が始まったばかりなのにひそひそと耳に入る噂に追いつかないでいつつ、先生の声も跡形もなく白板に少し景色が変わるだけだった。赤い肌けた肩から腕のラインをなぞって、あの日の山の上に待機して甘い空気を吸い取ってみたら

「今だ!」

シャッターをパシャ!…


「あなた、これで何度目なの?」

田んぼのそばの集合住宅は送られた写真からもう切り離して良かったのにな。

ぼくだけのイモリの冬掛け布団をじっと見つめられると、数字の98と24がポロポロ湧いてくる。

"えへへ"

"やっほー、ぼくは掌鳥"


「夢に出掛けたんだよ、かつての空の島だ」

「もう一つだけ、帰って欲しいの」

「あれれ、ぼくは昔あそこにいて、、そうだ!山を制する者の寝顔は可愛い」

"ううん、こうしているじゃない、あなたは今息してるだけえらいのだから"


洗い場のいいとこは、景色が見えてほらポッケにはねもらったお菓子だってあるんだ。

「さ、時間だよ 上がりな!」

「ありがとうございました!」

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