流星の少年

JACKPOT031

流星の少年

眠れない夜

少年は窓越しに

夜空を見つめた。


「手が届きそうだな」


なんとなくそう思った。


夜空を広く見渡せるように

屋根へ登った。

手を伸ばした。


優しく、だけど力強く輝く星は

まるで、その手を気遣うように

光を弱め、掴まれた。

少年は夢中で星を集めた。


どれくらい経っただろう。

見渡す限りの星を集めた。


最後に、集めた星を包みながら

真っ暗な夜空を

きれいに四角く折りたたみ

ポケットの中へ

そっとしまった。


町は夜を失って

真昼のように明るくなった。


人々は眠るのをやめ

時計も困った顔をしていた。


少年はポケットの中から

再び夜を広げた。


折り目のついた夜空は

少しだけよろめいて

星がバラバラに散っていった。


星は尾を引きながら

光で空を編んでいった。


それから少年のことを

町の人々はこう呼んだ。


「流星の少年」と。

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