第2話 頭痛が薄くなってきて

 持っているらしき物は、内容はまだ白紙の立派な装丁の雑記帳、それとペン。


 それから、側に豪華な飾りの付いた剣。


 刃元に、眼に宝石があしらわれた龍の飾りが付いているってことは伝説の剣?


 名前は・・・たしか、『赤眼龍(せきがんりゅう)』。


 通称、『英雄の剣』・・・その、ひとつ。


『赤瞳龍』は善人を護り、悪を斬るための剣。


 善人を、斬れない剣。


 どうしてその剣を僕が所持しているのだろう?



 着ている服を確かめてみる。


 まず、上着・・・紗にしか見えない薄い鎧をシャツの中に着ている。


 これは・・・エルフの織った特別製のもの。


 本で読んだことがある!


 剣や弓矢や槍の攻撃すら、紗のような生地であるのに貫けない、と。



 ・・・ん?


 どうしてその貴重な鎧を僕が着ているんだろう?



 その下は、妙にポケットが多い機能性重視なズボン。


 ポケットの中に飴玉とクッキーとガムとグミを見つけた。


 未開封の個包装、助かるかもしれない。



 靴は編み上げブーツで、意識をしてみると動いた。


 そしてふと、思い出す。


 足首あたりを意識して、そして今度は足の裏。


 すると頭に頭痛とは違う波が微量に動いた。


「マグリーだ」


 『マグリー』とは、靴に仕込むことで使用者の意識と連動する魔法石。


 錬金術で生成された、戦闘能力などを急激に上げる魔法アイテムだ。



 今、おそらく自分の持ち物だと思しき雑記帳に、ペンで書記をしている。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る