日常の隙間に潜む、恐怖と狂気を描く──静謐な現代怪談集

この作品は
「恐怖症」という人間の原初的な感情を
日常の隙間に潜む
不気味なリアリティと共に描いた短編集です。

どの話も
派手な怪異や明確な〝恐怖の元〟を示さず
むしろ人間の心の奥底に巣食う
〝嫌悪〟〝不安〟〝生理的拒絶〟を
巧妙に掘り起こしています。

まさに──
嫌悪対象が自己同一化していく心理的ホラー。

感染の概念を通じて
〝見た者が壊れる〟現代的怪談

世代を越えて受け継がれる
恐怖の連鎖

命と身体の境界が崩壊する
生理的狂気——

いずれも静謐で淡々とした筆致の中に
狂気がじわりと滲み出ます。

恐怖を声高に語らず
読後に「ぞわり」と皮膚が逆立つ感覚を残す
洗練された現代怪談集──⋯

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