結局は〇〇なヒロインが可愛い!?
あひる12号
第1話
「好きです。」俺は今日この世界の幕を閉じた…
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「今週はこのヒロインだな」
気づけばもう慣れていた。
俺は七つの世界を行き来している。一週間ごとに一つの世界に行き、七週間目が終わった後に一週目の世界にまた戻る。
しかも一つの世界ごとに、一人のヒロインがいる。
でもどの世界もそれぞれ違い、いろんな属性のヒロインだった。
どうしてこんなことになったのか、最初は本気でわからなかった。
どうしてそうなったかというと、俺が高校一年生のある日、ふと心の中で
「あー俺もラブコメしたいなー」と呟いた夜、夢の中で女性の声が聞こえた。
うっすらと
「きっと君は……」
この先はなんて言っていたか、今も思い出せない。姿も、声も。
そして次の日、俺の世界は変わっていた。
最初は怖かった。
しかし、俺が願っていた「ラブコメをしたい」という望みが叶ったことで、喜んでいる自分がいた。
なぜラブコメだと思ったのか?
家族構成が変わったことかな。
俺は片親で父親しかいなかったが、この世界には――いや七つの世界には義理の妹ができた。
これはラノベの展開だと思いついたからである。
のちに別の世界ではヒロインとなる。
最初の一週間目は、ヒロインが義理の妹ではないと分かったことに少し驚いた。
……勝手に義理の妹をヒロイン扱いしている時点で、俺は終わってると思う。
しかし友達はどの世界にも変わらなかったことがよかったと思う。
この世界での俺は、2日ほど普通に過ごしていた。
前の世界と変わらず授業を受け、のんびりと過ごしていた。
だがテスト週間が始まったため、図書館で勉強することにした。
そこで俺は、この世界のヒロインと出会うことになった。
図書館で俺は国語の勉強をしていた。
「あー疲れた」と小声で呟く。
ふと外の空気が吸いたくなり、外に出ようと歩いていると、ぶつかってしまった。
ぶつかった拍子に、彼女は少し驚いた顔をして、俺を見上げた。
「あっ、ごめんなさい……」
「いえ、大丈夫です」
ふと見ると、ラノベの世界にいそうな黒髪ロングの清楚な彼女だった。
俺はなんかこの子を見たことがある気がした。
こんなに見覚えのある顔……いや、見覚えはない。でもどこか懐かしい気がする。
「ところで、名前は……?」
ヒロインは少し恥ずかしそうに頬を赤くして微笑んだ。
「私、清水雫です」
その瞬間、心臓が少し跳ねた気がした。
——この世界は、この子がヒロインだな、と直感が訴えているような感覚だった。
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