されど少年は魔女を探す

誠ノ士郎

第1話  魔女の独白

 私が彼に出会ったのは四百歳になる頃だろうか。

 森の奥に古小屋を建てて、他の人間との関係を経っていたのだ。

 すでに人間など信じるに値しなかったので、森に籠もり、度々、人間がやってきて、ちょっかいや嫌みを言っていくのでその後始末をしていた。

 大雪で凍える日のことだ。わらで編んだ籠がひっそりと森の入り口に置かれていたのだ。

 興味本位で籠を開き、覗いてみる。

「うぁー!うぁー!うぁー!」

 人間の赤子だった。

 未だ乳すら貰っていないほどの捨て子だろう。

 結局、産み落とすだけで、育てずに捨ててしまう。それが人間なのだ。

 しかし、私にコレを救ってやる義理などない。

 人間の赤子など、凍死してしまえばいい。

 振り返り、古小屋の方へ向かっていく。

 後方から赤子の泣き声が聞こえてくるが、無視した。

 吹雪と共に徐々に、声をかき消していく。

 心は痛まない。当然だ、人間がしてきたことに比べれば――。

 無視するはずだったんだがな。

 気がついたら、赤子の籠を抱きかかえていた。顔についた雪を払い、頬に触れる。

 赤子は泣くのをやめ、嬉しそうに私の指を握ってきた。

 暖かいのだろう。

「お前、名前をなんて言うんだ?」

「あー!あー!」

「ああ、そうか。お前はまだ名付けられてないんだったな」

 私は自分の馬鹿さ加減におかしくなってしまった。

 扉をを開けて、吹きさぶす外を一瞥し、私は小屋に入る。

「お前に名を与えなければな、何にしようか」

 

 

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