呼び出し

専門学校を無事卒業し、お互い就職した私達。


社会人になりたてのこの頃が1番会っていました。


週に3回はご飯に行ったりフレ子の家に泊まりに行っていました。




そんなフレ子は専門学校時代から付き合っている彼氏がいました。

名前はこうき。


こうきはフレ子より10歳年上で、居酒屋の店長をしていました。


専門学校時代、フレ子に頼まれて一度だけその居酒屋でバイトをしたことのある私はこうきと顔馴染みになっており、3人で遊んだりもしていました。


泊まりに行っていたのも、フレ子とこうきの同棲している家です。



フレ子は相変わらず男好きで、浮気を繰り返していました。


浮気をする時はよくこうきに「ポテトと遊んでくる」と嘘をついていたようです。


しかし、こうきも浮気はよくしているようで何回かバレてもいたので、そこに関しては私は口は挟みませんでした。




ただ迷惑だったのは、フレ子から来る偽装LINE。


「ポテト、今から迎えいくね!」

「今日はありがとう!楽しかった」


私と会ってなんかいませんが、こうしたLINEがしょっちゅう来ていました。


「了解!待ってるね」

「こちらこそありがとう」


(また男と会っているんか)なんて呆れながらも合わせてあげていた都合のいい私です。



ある朝、目を覚ますとこうきから着信が入っていました。

時間は深夜の3時。


フレ子に聞くと、昨夜も私の名前を使って男性と会っていたのですが、今回は怪しまれ、こうきが私に確認の電話をしたとのこと。


もちろん爆睡していた私は電話に気が付かず、バレて怒られたとのことでした。



一度私の職場にこうきから電話が来たこともあります。

電話に出たのは先輩。

新卒だった私は顔を真っ青にして、上司には話さないでほしいと懇願しました。


これはもう本当に大迷惑でした。




私に何度迷惑をかけようとも、こんなことには懲りないフレ子。

また別の日のお話です。



私は里美という友達と遊んでいました。


里美はフレ子とはそこまで仲良くはありませんが、知り合い程度とのこと。



里美とショッピングを楽しんだ後の帰り道。


突然フレ子からLINEが。


「助けて!今からA町のファミレスに来て」


「どうしたの?」


「ポテトとご飯に行くって嘘ついて出てきたんだけど、今駐車場にこうきが待機して監視してるの」


「え?男性は?」


「男の子には別の席にわざと座ってもらって待機してもらってるからバレてはない。でもポテトが本当に来るまで監視するって言われてて、逃げられないの。お願い、来て」


実際私は里美といましたし、そのファミレスは今いる場所から1時間ほどかかる距離。


「里美といるから無理だよ。急に解散しようなんて言うの悪いし」と返しても「お願い」の一点張り。


顔をしかめる私を見兼ねて里美が声を掛けてくれました。


「どうしたの?」



事情を話すと男気のある里美は、


「フレ子がそんなことになってるの?私も一緒に行くから助けてあげよう!」


と言ってまさかの一緒に来てくれることに。



ファミレスに着くと、安堵した様子のフレ子。


奥の席には、例の男性がひとりで座ってスマホを触っていました。

(もしフレ子に彼氏がいること知らなかったのであればとんだ被害だな…)



おかげで、フレ子は男性とはその日会うことはできませんでしたが、こうきには責められずに済んだようです。



あの日、一緒に来てくれた里美には本当に感謝です。




しかし今思い返しても…


私はフレ子に利用されるだけではなく、私の友達にも迷惑を掛けていたんですね。


里美には申し訳ないことをしました…。

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