転生したら悪役令嬢、しかも暗殺されるって本当ですか?

望月 千夜

プロローグ:私が悪役令嬢?そんなまさか

私はメルリア・カトザレア、10歳。今日は婚約が決まった相手との顔合わせの日である。その為可愛らしいドレスを着て車に乗っていた。


「お母様、お相手の方は優しい方かしら……」

「そうね。メルにとっても良い顔合わせになるといいわね」


お母様はそう言って私ににこやかな表情を見せる。お母様の奥に座っているお父様はどこか厳しい表情をしているけれど。しばらくしてお父様が口を開いた。


「メル。お前の婚約者は我が国・ランバルト王国の第1王子だ。くれぐれも気をつけるんだぞ」

「……?はい、お父さ──────きゃっ!?」


私が返事をしようとした瞬間、車が大きく揺れた。どうやら車の前に猫が飛び出してきたらしい。その時、私の頭の中に様々な感情や想いが流れてきた。何、これ……。


車に轢かれそうになっている猫。それを助けに向かう女の子。それは紛れも無く私で。


「メル、大丈夫?……メル?」


そこで私の記憶は途切れ、次に目が覚めた時は知らない部屋の天井だった。


「ここは……というか私転生してる……?」


メルリア・カトザレア。この名前には覚えがある。私が前世でハマっていた乙女ゲーム・『愛の花にくちづけを』。通称『愛花』。そこに出てくる悪役令嬢がメルリア・カトザレアだ。


「記憶が確かなら私……暗殺される……」


ヒロインをいじめたとかで攻略対象の第1王子によって暗殺される……え、第1王子?


「私の婚約者って第1王子の……アクアスティード・ランバルト様……」


まずい。このままだと私の未来は真っ暗だ。なんとかしないと。


どうにかして婚約破棄してもらおう。その作戦はこれから考えるとして。


「そろそろ誰か来ないかしら……勝手にうろつくわけにもいかないし」


そう思っているとタイミング良く扉をノックする音。返事をして中に入ってもらうと、お父様とその後ろには私と同じくらいの男の子。


「初めまして。アクアスティード・ランバルトです」


正直、頭の中はパニックです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る