詩集

ドン・ハビエル

真夏の雨降る熱帯夜


夏の熱帯夜、木の軋んだ古屋に…シトシトと小粒の雨が降り始める。 私は縁側に一人、寝転び。 夏を感じている。




庭先の夏の虫が奏でる鳴き声。 嫌な湿気を孕んだ温風。 この居心地の悪い暑さの中でも、涼やかに澄ました朧月。




その全ての要素が調和し、 静かで…美しい…夏の夜の情緒を醸し出していた…。






やがて夏の夜の雨は…ざあざあ と激しさを増してゆき…。 何処から迷い込んだか、カエルの鳴き声が聴こえてきた。 私の心は…その雨の激しさに共鳴するように…


高鳴り。


静まり。


曇り。


また、高鳴ってゆく。












眠れない真夜中。 私と雨だけが、この空間に存在している。




私は頭を掻き毟り、月を眺めるが、 月は雲に隠れて見えなかった。






夏の雨は変わりやすい。 いきなり勢いよく降り注いだと思えば、 尻すぼみに、勢いを失ってしまう事もある。




あれ程、ざあざあと降り注いでいた雨も、やがては静まる…。


私は縁側の戸を閉め、もう一度布団に入ってみる。






熱帯夜の雨のお陰か、その夜はよく眠れた。




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