第23話

「なんだそのかっこうは! みっともない!」

「どうしてもこのドレスがいいって聞かなくて。私はやめるように言ったんですのよ。しつけが行き届かず、申しわけございません」

 エマニーズは口元を扇子で隠しているが、意地悪く笑った目元は隠れていない。


「令嬢としてのたしなみもないのか。結局は中身なんだがな。育つところは育っているようだし、あとはこちらでなんとかするとしよう」

 言いながらドルファスは好色な目でセレスティーンを眺める。


 ほほ、とエマニーズは笑い、ティアリスはにやりと笑いながら扇子で口元を隠す。

「セレスティーンは幸せ者ねえ。心の広い伯爵に嫁にもらっていただけて」


「わ、私、帰らせていただきます……」

「せっかく来たんだ、あちらの休憩室で一緒に休憩するか」

 にたにたと笑うドルファスに、セレスティーンはえも言われぬ恐怖を感じた。


「ご迷惑をおかけるするわけには」

「婚約者に逆らうというのか!」


「そういうわけでは……」

「なら来い!」


「やめてください!」

 腕を掴まれ、とっさに声を上げた。周囲の目がふたりに集まる。


「なにあの女」

「娼婦を連れ込んだの?」

「ドルファス伯爵、噂にたがわぬ御仁ですこと」

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