「じゃ、また来世で」

鏑吉丸

01 : 戦場。残骸。月明かり。薄笑い。

 その日、戦場に送り込まれたのは俺を入れて七名。出立は夜半過ぎ。装備は暗視鏡付軽六式にて、日の出前まで深川北西戦闘区域にて任務にあたれ、とのお達しだった。

 2時間半、灯もない護送車の荷台に揺られ、自分と隣の男の呼吸だけを聞いていた。この仕事に就いて一ヶ月。息が詰まる移動時間にも慣れ、思考をここではないどこかへ逃がすことで苦痛も感じなくなった。


 護送車内での私語は禁止されている。戦場において音は重要な情報だからだ。戦闘機のプロペラ音が聞こえたら、この鉄の箱は格好の標的となる。

 俺たち【拾軍兵じゅうぐんへい】は、こんな名前だが民間人の区分にあたるので武器を所持していない。反撃の手段を持たないから、一度攻撃されたら逃げるか死ぬかだ。

 広大な大地を切り拓いて出来た戦場に遮蔽物のようなものはないので、逃げたところで生存率は絶望的。死にたくなければ、護送車ごと猛スピードで引き返すしかない。


 幸い今夜は死の気配もなく、護送車は穏やかに速度を落とし、やがて止まった。

 エンジンの停止を確認してから、俺たちは2時間半ぶりに立ち上がった。尻の痛みに顔を顰めていると、荷台の扉が開いた。月明かりのせいで隣の奴にバレてしまった。小さく鼻で笑ったそいつは、号令と共に歩き出す瞬間、拳で俺の尻を叩いた。

 一度整列した俺たちは、上官の短い合図で戦場に散った。のろのろと歩き出す俺たちの背中に向けて、上官が声を張り上げた。背負った大きな籠をいっぱいにするまで戻ってくるな、だそうだ。


《拾軍兵》は、戦場で兵士の亡骸を拾い集めることを生業としている。バラバラになった骸をひたすらかき集め、背中の籠に放り込み持って帰るだけの簡単な仕事だ。

 感傷でやっていることではない。

 長く続く戦争において、骸は重要な資源となる。兵士を消費し続けるだけでは勝機など見えてこない。

 一度使い終わったものを、どう再利用するか。どう戦力に変換するか。

 敵国との戦力差を詰めて持久戦に持ち込んだこの聖戦、これからは戦力の維持が何より重要だと言われている。だから【拾軍兵】には、兵士と同等程度の報酬が約束されている。荒野を練り歩きゴミを拾うだけで結構な給料をもらえるんだから、美味い仕事だ。


 集合地点を確認してから、俺はさっさと北へ足を向けた。別に何があるってわけでもない。ただ、他の奴らが向かわない方向を選んだだけだ。

 なのに一人、後ろからついてくる奴がいた。振り返らなくても気配でわかった。忌々しいなと思いながら、上官の目や耳が届かないところまで進み、振り返る。


「何してるんだ」

「何って、仕事だけど」


 移動車内で隣に座っていた男は、同郷の人間だった。

 同郷な上に、たった二人きりの同い年。兄弟のように共に育ってきた幼馴染。

 俺はこいつが嫌いだ。


「なんでお前がこの仕事してるんだよ」

「興味があるから」

「興味? 何に」

「お前の命に」


 顔を顰めると、月明かりに照らし出された青白い顔がにたりと笑う。

 こういうところが昔から嫌いだ。こいつはいつも、薄笑いを浮かべて俺に付き纏う。俺が嫌がることをして、不快に歪む俺の顔を見て満足そうにしている。何かにつけて絡んで来ては、煙に巻くような事を言って俺の神経を逆撫でする。

 多分こいつも、俺のことが嫌いなんだろう。


「死ぬところを見たいってか? ならお前が自分で引き金を引けよ。そのほうが手っ取り早いだろ」

「銃なんか持ってねぇよ」

「ナイフはある」

「え、そうなの? どこ?」


 自分の体をパタパタと叩く様に、ついため息が出た。売られた喧嘩をいつも無意味に買ってしまう。構わず無視するのが一番良いとわかっているのに、俺はこいつに噛み付いていなければ生きていけない病気に罹っている。


 こいつは村で「神童」と呼ばれていた。村で一番の名家に生まれた一人息子で、幼い頃からなんでも出来た。

 立ち上がるのも、言葉を覚えるのも、俺よりずっと早かった。勉強も運動も、年上を負かすほどだった。

 容姿も美しかった。皆に笑顔を振りまき、村人全員から愛されていた。

 村を出て学校に通うようになってもその立場は揺るがなかった。何においても一番で、皆から慕われていた。

 同じ年に同じ村で生まれた俺は、いつも比べられて生きてきた。

 あの子はすごいのにこの子は、と言われ続けた。それがすごく惨めだった。どうにかこいつを負かしたくて必死に努力を重ねたけど、「神童」でない俺は何をやっても二番手だった。

 勝てるものが何もなかった。どれほど手を伸ばしても、必死に足を動かしても追いつけない存在だった。

 悔しくて、悔しくて悔しくて、今もずっと悔しい。

 だから俺はこいつを、どうしたって無視することが出来ない。


「軽六式装備初めてでさ。えーっと、この辺か? お、ほんとだあった」

「なんで軍部に行かないんだよ」


 奴の手の中で鈍く輝く、人差し指程度の小さなナイフを睨みつけた。

 胸に突き立てても心臓までは届かない。頸動脈を狙ってくるだろうから、あえて首を狙わせて避けてから腕を封じる。戦闘の流れを組み立てながらも、口は動かし続ける。


「親父さんの言う通り、さっさと軍部に行けばいいだろ。大好きな戦闘機を操って、英雄になればいい。ついでにゴミ拾いしてる俺を蜂の巣にしたって、敵と間違えましたって言えばお咎めなしだ」


 軍部に上がれるのは一握りの人間だ。こいつはその資格を持っているはずなのに、どういうわけか招集を蹴り続けている。

 その傍らで、俺はもう三回も試験に落ちた。努力だけではどうにもならない、実技の面であと一歩及ばない。


「だって、軍部上がったってしばらくは自由飛行も自由戦闘も出来ないんだぜ。そうこうしてるうちにお前が別のやつに殺されちまうからさ」


 弓形になった目と口が不気味ですらあった。

 こいつが俺の命にここまで執着する理由がわからない。俺だってこいつのことが大嫌いだが、命を奪ってやろうとまでは考えないのに。

 ナイフが元の位置に戻ったので、俺は張り詰めていた意識を解いた。警戒は続けつつ、踵を返してまた歩き出す。

 仕事をしよう。意識を足元へと切り替える。今夜は月明かりが酷いので暗視鏡がなくてもなんとかなりそうだ。岩と雑草が転がるだけの広大な大地に不意に現れる兵士の亡骸を探し歩く。ひとつ見つけたら、芋蔓式に見つかるはずだ。


 しばらく無言で歩き続けた。時折意味もなく方向転換してみたが、足音はピッタリと俺の後をついてきた。

 鬱陶しいので走って振り切ってやろうか、なんて考えていたら、不意に名前を呼ばれた。


「ジロー。その先、地雷あるよ」


 流石に足を止めてしまった。

 暗視鏡を装着し目をこらすと、確かに地面の一部が淡く点滅している。

 点滅は不規則にいくつも広がっていた。あと50mも行けば地雷域のようだ。舌打ちして、進路を右にとる。

 地雷域の境界をなぞるようにして、またしばらく歩いた。足音は相変わらず一定の距離をとってついてくる。足音が聞こえてしまう以上、俺の意識はどうしたって背後のあいつに引っ張られる。


 いつからか名前を呼ばなくなった。

 元々、村の子供は数が少ない上に同世代は俺たち二人だけで、遊び相手はいつもこいつだった。だから名前なんか呼ばなくたって「おい」とか「お前」で会話ができた。

 それをいいことに、俺はこいつの名前を無理やり忘れようとした。

 意識して、心の中でも呼ばないように気をつけた。

 代わりにあだ名をつけてやった。サブ。下位の者の意味だ。


「ねぇ、こんなに見つからないもんなの?」


 背後でサブが泣き言を言い出した。情けない声をあげて、足音が止まる。

 この隙に距離を取ろうと、俺は容赦無く歩調を早める。


「毎日さぁ、何百って単位で死んでるんでしょ? なのに敵の骸すらないじゃんか」

「8万3,000平方キロメートルの中の、まだたったの数百メートルだ。いくつも見つかるわけないだろ」

「せめて範囲選択もうちょっと考えた方がいいね。直近激しい戦闘があった辺りとかにしないと、効率悪いよ」

「そういうところには敵も来るんだよ。最近【拾軍兵】狙いの殺戮機が増えてるからな」


 律儀に答えている自分に気づいて、声を張るのをやめた。

 なんでこいつとまともに会話なんかしてるんだ、馬鹿馬鹿しい。

 足音が弾んで、サブの気配がまた背後についた。さっきより距離を詰めて、気安い声が気安く俺の名前を呼ぶ。


「その殺戮機ってやつ、ジローは会ったことあるのか?」

「あったら今生きてない」

「どういう見た目してるとか、聞いたことは?」


 随分熱心だなと、つい視線を送ってしまった。

 サブは得意の薄笑いを消して、やけに真剣な顔をしている。


「知らん。殺戮機に狙われた《拾軍兵》は生きて帰れないからな」


 サブの表情は固かった。いつもヘラヘラして、この世の全てを舐め腐ったような調子のコイツが一体どうしたというのか。

 気にはなったが、聞くことはしなかった。こいつと会話をすること自体が不愉快だからだ。殺戮機のことも、口に出して気持ちのいい話題ではない。


 殺戮機は二週間前に突如現れた。

 夜半過ぎ、いつものように戦場に散った【拾軍兵】のひとりが、憎きプロペラ音を耳にした。即座に警戒を伝える無線を飛ばし、地面に伏して闇に身を隠したのだが、彼は数十秒後に蜂の巣になった。その部隊は朝になっても本部に戻らず、軍部の調査隊が現場に赴くと、そこには凄惨な光景が広がっていたそうだ。

 殺戮機は快楽目的で【拾軍兵】を殺している。丸腰の人間を追い回して弄んでから、人間の尊厳を踏み躙り、命を奪う。

 本来、夜間の戦闘は消耗が激しいので滅多に行われない。敵国ともそういう約束になっているはずだった。だが殺戮機は夜間に暗視装備で飛んできて、非戦闘員を殺して回った。

 我が国はその卑劣な行為に対し敵国に抗議したようだが、あちらさんは曖昧な態度を貫くばかりらしい。我が国の上層部もあまり強くは言えないようだ。

 長引く戦争で、兵士の精神衛生問題が深刻化している。程なくして、我が国からも殺戮機が生まれるだろう。

【拾軍兵】の在り方もおそらく変わる。このまま殺戮機に好き勝手させていては、人的資源の被害が甚大だからだ。


 戦争は、人を人ならざるものにしてしまう。

 国のために人と人が殺し合うなんてあまりにも馬鹿げているのに、どうしたって歴史は愚かな方へ転がりたがるらしい。

 その時代に生きる俺もまた、馬鹿になっていく。

 次の入隊試験はきっと通る。【拾軍兵】での一定期間の活動が加点され、俺はやっと軍部に入れるのだ。国のために戦う戦士となり、輝かしい功績を上げ、今度こそ俺はこいつに勝つ。


 ふと、視界に違和感を覚え足を止めた。背後の足音も同時に止まる。

 同時にそれに気づいた俺たちは、各々に口を開く。


「やっと見つけたぁ」

「よし、収穫あったな」


 数メートル先に、岩でも草でも土でもないものが横たわっていた。

 風に吹かれても微動だにしない。原型を留めず破壊された兵士の亡骸。

 回収用トングを構えて近寄る。サブが何か呟いているのが聞こえたが、どうでもいい。周辺に散った残骸をつまみあげ、籠に放り込んでいく。

 手のようなもの、脚のようなもの、元なんだったのかわからないものも、とりあえず籠へ。サブに取られる前に、全ての骸を回収したい。


「ねぇ、周りに他の骸いないんだけど」

「そうか残念だな。だがこれは俺が持ち帰る」


 ちょっとドヤ顔をしてやったのに、サブの目は俺も、足元の亡骸も見ていなかった。周囲をぐるりと見渡す、その表情は険しい。

 なんだか胸騒ぎがして、俺も手を止めた。確かに周辺に骸が見当たらない。ひとつ見つかれば芋蔓式に手に入るはずなのに、こいつはここでぽつりと死んだらしい。


「斥候兵か……?」


 俺の呟きを聞いてか、やっとサブが俺を見た。

 目があって、つい顔を背けてしまった。薄笑いを浮かべてないこいつは、どうにも調子が狂う。


「それ、俺がもらうわ」


 言うなり、サブは俺をすり抜けて一番大きな塊に向かっていった。

 慌てて追いかけて手を伸ばす。服を掴んで牽制したが振り払われた。加速して肩をぶつけてやる。この勝負、先に触った方が勝ちだ。

 一番大きな塊は、胴体部分のようだった。乾ききった液体に塗れ汚れている。俺たちの手は同時にそれに触れ、同時に持ち上げようとした。その瞬間、嫌な音を聞いた。


 電子音。やられた、罠だ。


 淡くひかる地面が目に入った瞬間、横に飛んだ。咄嗟にサブの身体を突き飛ばしていた。

 爆音。閃光。強烈な熱波。

 倒れ込んだ俺たちの上に、爆発で舞い上がった土塊が降り注ぐ。残響で脳が揺れるようだ。天地もわからないような眩暈の中で、悟る。

 左脚が飛んだ。どこから失くなった?

 眩暈が引くごとに自分の輪郭がわかってくる。

 膝はある。そこまでは動く。だが、ふくらはぎから下の感覚がない。足首は動かない。

 誰かの悲痛な声がした。遠く感じるのに、目を開けたらサブの顔が鼻先にあった。

 見たこともない険しい顔で何か叫んでいる。


「……罠、だ、すまない」


 何を言ってるかわからないので、とりあえず伝えるべきことを伝えようと思った。自分の声もよく聞き取れない。


「ここは危ない。お前は、戻れ」


 サブの顔がぐしゃりと歪んで、それから何かを探すように顔を上げた。

 俺の肩を抱き起こし、サブが耳元で声を張る。


「敵が来る」


 そんなことはわかっている。

 この骸は【拾軍兵】を誘き寄せるための罠で、爆弾の起動と同時に位置情報が敵機に飛んだ。周辺の【拾軍兵】ごと蹂躙するために、殺戮機が嬉々としてこちらに向かってきているはずだ。

 逃げろ、と繰り返したつもりだったが、サブの耳には届いていないようだった。

 俺の腕を肩に回し、立たせようとする。

 逃げろって。声を張ったがやはり、サブは反応しなかった。

 一度俺の身体を離すと小さなナイフを引き抜き、カゴに巻きついた布の紐を切り離していく。


「……せないからな」


 サブが何か言った。少し聴覚が戻ってきたようだ。

 長い紐を手にしたサブは、自分の右脚を俺の隣に突き出した。


「ひとりで死なせないからな!」


 叫んだサブは、俺の左脚と自分の右脚を紐で括り始めた。

 遅れて強烈な痛みが走る。顔を歪め呻いたら、サブが俺を叱咤するように叫んだ。


「殺戮機なんかに殺されてたまるかよ! 生きてるうちに、そこの地雷域に突っ込むぞ。2人の体重なら対戦車地雷も反応する!」


 目があって、サブは笑って見せた。

 いつもと違って随分と下手くそな笑い方だった。


「どうせ死ぬならさぁ、ふたりで派手に逝こうぜ! なぁ!」


 引き攣った口角に、今にも泣きそうな目。

 なんでもかんでも完璧で隙がなく、あらゆることを飄々とこなす男でも、死ぬのは怖いのか。


「……怖いなら、無理すんなよ」


 ここでお前が死ぬ必要はないだろ、と言いたかった。

 俺はもう無理だろうが、お前にはまだ足がある。

 学校一の俊足であるお前なら、敵機が来る前に護送車まで戻れるはずだ。


「走れ。いますぐ。俺のことはもう、ほっとけ」


 朦朧とする意識の中で、なんとか言葉を絞り出した。だがサブは再び俺の肩を抱き、力任せに立ち上がらせた。

 サブの足に左足が括り付けられているおかげか、片足立ちでも安定した。片側の体重をサブに預けて、無事だった右脚を踏み締める。

 耳が風の音を聞いた。すぐ隣の息遣いと、遠くのプロペラ音も聞こえてしまった。

 敵機が迫ってきている。もう間に合わないか。

 すぐ走り出していればいいものを、万年二番手の俺なんか構うから。


「死ぬのは怖くないよ」


 そう言ったサブの手が、震えていた。


「けど、お前を喪うのは怖い」


 耳を疑うような言葉に、つい横を向いてしまった。サブも横目に俺を見て、笑う。

 照れたように眉を下げて、なんだか可愛らしい顔で、笑う。


「お前のおかげで、俺の人生ずっと楽しかった。じゃ、せーので歩くぞ。せーのっ」


 サブの右脚と俺の左脚が前に出る。踏み出したはずの足は空を切る。

 足の裏がない。いや、そんなこと今はどうでもよくて。


「……俺のこと、嫌ってたんじゃ、なかったのか」


 二人三脚で前に進みながら聞いた。サブは可笑しそうに笑って答える。


「違うよ。むしろ逆」

「逆?」

「ずっと好きだったんだよね」

「……は?」


 地雷域まであと数十メートル。


「え、好き、って?」

「そう。好きだった、お前のこと」

「す、……え?」

「あぁ、まぁ伝わってなさそうと思ってたから別にいいんだけど。一応、結構ちょっかい出してアピールしてたんだぜ。何でもかんでもお前に勝って、悔しがるお前が俺のことずっと見ててくれるように仕向けたりとかさ」


 地雷域まであと十数メートル。

 だがこのままでは死ぬに死ねない。

 立ち止まりたいのに、俺の片足は踏ん張る力をもう残していない。


「軍部行かずにこの仕事就いたのだって、お前が殺されたらたまんねーなと思ったからでさ」

「何、言って」

「俺が守ってやりたかったのになぁ。守られちゃったな。悔しいわ」

「……え? はぁ?」


 地雷域まで数メートル。あと数歩で俺たちの命は終わる。

 そんなタイミングで、こんなこと言う?


「最期に言えてよかったわ」


 鼻先で、サブが笑った。いつもの笑い方のはずなのに、なんだか輝いて見えた。

 その弓形の目が、俺を見つめて震えた。

 その弓形の口が、俺の名前を呼んだ。

 一歩、また一歩、前に進む。時間がない。

 待てよ、待ってくれ。まだ理解が追いついてないんだ。

 俺も何か、お前に言わなきゃいけないことがあるはずなんだ。

 またそうやって勝ち逃げするのか。ずるいよ、最低だ。だから俺は、お前のことが、


「じゃ、また来世で」


 そんな言葉と共に、サブは思い切り地面を蹴った。

 俺たちの体は眩い光に包まれ、そして、消えた。


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