夜ごと目覚める魔女の教科書 ~潜在意識で美と富を引き寄せる13の秘密~

ソコニ

第1話 鏡の中の魔女





また今朝も、私は鏡の中の自分を殺そうとしていた。


コンシーラーを重ねる。何層も、何層も。

消えない目の下の影。昨夜どれだけ眠っても、もう消えない。


「また……老けた」


つぶやいた声が、ガラスに跳ね返って自分を刺す。

スマホには、いいねのついた過去の写真。

三年前の私。光の中で笑っている、無防備な顔。


あの頃の私が、一番綺麗だった——。


そう思うたび、胸が軋む。

化粧台の隅に、古いポラロイド。

瑠生が撮った、たった一枚の写真。


別れ際、彼は言った。

「君が一番綺麗な瞬間を残したかった」と。

それが、呪いになるなんて知らずに。


「どうして、あの頃には戻れないの……?」


鏡の中の私は、もう笑わない。



「戻る必要なんて、ないわよ」



私は息を止めた。

誰もいない部屋。

けれど、声は確かにそこから響いた。


「……誰?」


返事はない。

ただ、鏡の奥に微かな光がゆらめく。

ガラスの中の瞳が、ほんの少し違う角度で私を見ている。


「あなたは鏡を見ているつもりで、

 鏡に裁かれているのよ」


心臓が跳ねる。

涙とファンデーションが混ざって、頬を伝う。


「何を……言ってるの?」


「真実よ。

 あなたの"見方"が、あなたを老いさせている」


声は冷たいのに、優しい。

私は震える手で、鏡に触れた。

冷たいガラス。けれど、奥から何かが——温かい。


「戦いをやめた女だけが、美しくなる。

 それが、第1の秘密」


光が、消えた。

窓の外、朝日が差し込む。

鏡の中の私は、いつもの私に戻っていた。


けれど——。


私はもう一度、鏡を見つめた。

いつもより少しだけ、やわらかく微笑んでみた。


化粧台の引き出しが、わずかに開いている。

中に、小さな黒い手帳。

表紙には金色の文字。


『夜の手帳 ― 魔女のための13の秘密 ―』


震える指でページを開く。

最初のページには、こう書かれていた。


「第1の秘密:美は、戦いではなく、思い出すこと。

 次の満月まで、この手帳に"好き"を集めなさい」


鏡の奥で、また誰かが笑った気がした。


---


## 🌹 魔女のメモ


今日の魔法:「鏡の魔法」


鏡を見るたびに、自分を採点するのをやめてみましょう。

代わりに、1つだけ「好きな部分」を探して声に出す。


脳は「探したものを見つける」習性があります。

欠点を探せば欠点が増え、美点を探せば美点が増える。


今日から、鏡は"敵"ではなく"魔法陣"です。


7日後、あなたの表情が変わり始めます。

それは、潜在意識が「受容モード」に切り替わった証拠。


美しさは流れを呼びます。

豊かさは、あなたが自分を愛した瞬間から動き始める。


さあ、今すぐ鏡の前へ。


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