鳥籠に吹く風と揺れる止まり木

縞間かおる

 この物語に出てくる“ガラスの徳利”はこんな感じの物です。


 https://kakuyomu.jp/users/kurosirokaede/news/822139837910675627




 ◇◇◇◇◇◇


 初めてコンタクトをしたあの日……


 髪をバッサリ切ってサロンを出たあの瞬間……


 砂埃を巻き上げた風のいたずらで


“メガネ”や“髪”という“今は存在しない物”を

 掴もうとして

 指は空虚に舞うばかり。



 そして、悪夢に怯えた今……


 寝返りを打って“カレ”に縋ろうとした私の腕は

 毛布の中で空虚に取り残されてしまっている。



『もうこの人』と決めていた人と別れた。


 ……との言葉は綺麗過ぎる。


 つまりは

 寝取られた!!


 私より若くて

 女に。


 カレの“余りにも単純な”と……

 自分自身の愚かさの

 両方にあきれ果てて


 その時、涙も出なかった。



 このベッドには……つい数日前まで

 カレが棲息していて


 私は能天気にも

『もう、お互いの親とも顔合わせしたし、お互いの年齢からしても結婚したらすぐに子供は欲しい!!』と考えていて……

“原因を露知らなかったカレとのの減少”を鑑みて……


『カレの部屋にも“モノは”あるだろうし……何年かは私の“部屋へやゴム”は買い足さなくていいだろう』と算段していた。


 ホント!

 コメディ以外の何物でもない!!

 恐らくカレは……との為に

 せっせと“部屋ゴム”を買い足していたに違いない!!


 人が変わったようにカレが掃除に熱心になったのは

 私との結婚生活の準備の為では無かったという事だ。


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