おでんの具たちが湯に浸かって語らう情景が、やさしくて思わず頬がゆるみました。湯けむりやだしの香りまで伝わってくるようで、読んでいるうちにこちらまで温まってくる感じがします。誰かのためにあたたかくなる、という考え方が物語の中に自然に溶け込んでいて、読み終えたあとに静かな安心感が残りました。寒い日にそっと読み返したくなる、ぬくもりのある一編だと思います。